隣の芝生

朝の街



 最新のデータでは,オーストラリア人の平均年収は1000万円だそうだ。1時間のアルバイト時給が1700円となっている。ちなみに,日本は,平均年収が400万。時給相場が800円。
 さらに,オージーは貯金をして,節約するという感覚がないそうで,外食での出費や購買力が高く,経済がうまく回転して,給与も上がることはあっても,下がることがないというからすごい。
 おまけに,失業後の手当や,老後の福祉が良くて,老後貧乏など噂にもないという。
 そういう国だから,家の敷地は,最低でも300坪あり,よってプールがあり,ヨット,もしくはキャンピングカーがあり,仕事仲間は大きなトラブルもなく,それぞれの生活を尊重しあう関係にあるという。
 これは,調査データーではないのだが,手に職を持つ人が優位にあると私は感じている。大学を出ただけで何もできないというより,高校を出て,手に職をつけて,専門職として自分を位置付ける。やりたいことをやって,好きなことをして,人生を楽しむ。そうした生き方が,彼らオージーの思考の中にあると思うのである。
 狭い国土で,何らの資源もなく,大学を目指し,あくせくする国からきたものにとっては,羨ましい限りであるが,隣の芝生は良く見えると言うように,日本人はあまり彼らの生活スタイルを羨望の眼差してみることをしてはいけない。
 彼らには彼らの悩みや苦悩があるはずである。
 それは,海辺で,ボーッとしている青年の姿から想像がつく。世の中はそうできているのだ。
 天国などこの世にはない。あるのは,人が与えられた環境でいかに生きるかである。
 暑苦しい,狭い我が家がなぜか恋しくなってきた。


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赤児の成長

エメラルドレイク


 娘の家の前に雑木林がある。犬たちの散歩コースであり,小径がいくつも通り,街の散歩コースにつながるその一角に当たっている。そこが,近所の子供達の遊び場である。シャベルで穴を掘り,マウンテンバイクのコースを作っては,子供達が競っている。男の子も,女の子も,裸足である。観光地に行くと大人も裸足の人が多い。オージーは裸足が好きである。
 娘のうちは,玄関で靴を脱ぐようにしているが,水道工事の人や,家をメンテナンスする契約をしている工事人たちは,土足で家の中にずかずかと入り込んできた。さすがに働いている人には裸足はいない。
 その子供達に人気の遊びは,何とチャンバラである。恐らくは,スター・ウオーズの影響であると思うが,枝で刀を作り,槍を作り,中には,背中に刀を背負って,忍者スタイルで戦う猛者もいる。遊ぶ時間も面白い。学校に行く前に,子供達が寄り集まって,30分ほど遊ぶのだ。日本では考えられないような遊び方である。夕方は4時ごろから,学校から帰ってすぐに遊びを始める。昨日など,両手にグローブをはめているのかと思わんばかりに泥んこにまみれ,自転車遊びをしていた。もちろん,裸足である。
 今朝,5ヶ月の孫が,向こうで遊ぶ子供達の声を聞きながら,テレビの児童番組にも聞き耳を立てていた。
 こうして,3番目の孫は英語と日本語の二つの言葉をマスターしていくのだと思った。

食在亜細亜

夕べの海



 日本で食べるケバブは味も量も極めて良好である。値段も500円と手ごろである。
 ゴールド・コーストのケバブは,90ドル(約900円)もする。おまけに,日本の5倍は大きさがある。味はめっぽう辛い。食べきれないのだ。なにもかも大きいというのはいいことかもしれないが,オーストラリア人の80パーセント近くを占める肥満は,これが直接的原因とも思われる。チキン1羽を一人で食する女性もいた。すごいの一言である。
 移民の国であるから,世界各国の料理が簡単に食べられる。日本の巻き寿司なども,子供がほうばっている。しかも,これが大きい,太巻までとは言わないが,それに近い大きさである。小ぶりの上品な食べ物は,この国では流行らないらしい。
 食べ物は大きく,ボリュームがなくてはいけない。それ一つで満腹にならなくてはいけないという観念があるのだろう。
 そうした中,娘の亭主が,友人のインドネシア人からもらったというサツマイモのチップスを持ってきた。芋の甘さとまぶされた唐辛子の辛さがバランスを持っていて,実に美味しい。それをインドネシアの友人に伝えたら,また,作って持ってきてくれた。ポテトチップスのように,オイリーではなく,甘さと辛さのバランスが取れた絶品の美味しさである。
 やはり,食はアジアに勝るものはない。


なんだって!

yamayama


 娘はオーストラリアで美容師として働いている。その娘に初めて頭を刈ってもらった。
 刈りはじめてしばくして,後頭部に500円玉くらいのハゲがあるよと娘が言う。
 なんだって!
 医学的な原因などは分からないが,一般的には,ストレスが原因だと言われている。
 ストレス!
 この4月から,そういったものは一切なくなった(はずである)。
 なのに,なんで!
 妻がいう。
 人生で初めて,入院したり,手術したりで,そういったものが影響しているのでは?
 帰国したら,また,病院通いが始まる。今度も医師から手術が必要と言われている病がある。医者はなんだかんだと切りたがる。
 人生初めての手術は,脳の下垂体に腫瘍ができて,それが視神経を圧迫して,視力を弱め,視界を狭くしていた。
 手術で腫瘍を切除すると,以前より,視界が良くなっていた。
 恐るべし!日本医学技術。
 医者が治すべしという体の問題点を早くに癒し,次の活動に入らなくてはいけない。
 しばらくは,嫌な医者とも付き合わなければいけない。
 それが,ハゲの原因なら,追っ付け,突発性のハゲは治るだろう。
 しかし,慢性後頭部脱毛症はもはや治しようもあるまい。

人生,楽しむべし!


 隣家の主人は,年の頃はそう70歳代くらいだろうか。こちらの人は歳よりも幾分老けて見るので60歳代だろうか。現在,庭の大改装中である。それも,毎日少しづつ。昨日,玄関先のブッシュを刈っていたが,今日は,大量の肥料が積み上げられていた。土を作り,そこに樹木を植える算段である。
 良い庭が出来ますねと声をかけると,随分と時間をかけて説明をしてくれた。自分の考えていること,それを実行に移すことへの自信が垣間見えた。
 その隣の隣の主人の趣味は,クルマである。それも,ビンテージカーである。彼が,真っ赤な二人乗りの米国製の丸みを帯びたクルマで,白髪をなびかせて現れた時はびっくりした。話はまだしていないが,何でも,自分で修理をしてしまうくらいのクルマ好きであるという。
 夕方,散歩の途中で出会った人にも驚いた。
 その人は,向かい側のバスストップのベンチに腰掛けていた。やがて,ブロードビーチ行きのバスが来たので,てっきりそれに乗って行ったと思っていたが,ふと気がつくと,私の後ろを歩いていた。バスには乗らなかったのだ。疲れて,ベンチで一休みをしていたのだ。
 夕景が美しいので,家の前で,写真を撮ろうと立ち止まっていると,その方が中国語で話しかけてきた。中国人かという。違うと答える。私がどこから来たのかというと,南京だという。あなたは中国語ができるのかという。大学時代に中国文学を専攻していたというと,それまでの仏頂面が消えた。ここに何年暮らしているのかと尋ねると,息子の家を訪問しに来たという。ならば,私と一緒だと私がいう。そうかとうなづきながら,彼は手を挙げて,また会おうという仕草をして去って行った。
 それぞれが新たな人生を作り上げ,楽しんいるのだと感じた。

家を美しくする


 つくばでは,裏道を一人でさっさ,さっさと歩く。筑波のお山を見ながら,田圃のカエルの鳴き声を聞きながら,時折出会う人と挨拶をしながら……。
 ここでは,住宅地の中に作られた道を歩く。ここは,海につながる湖が入りこんで,家によっては自宅前にポンツーンが置かれ,船が係留されている。丘を見事に利用して,住宅が円形の土地に作られて,街を形成している。
 夕方の散歩は,鳥たちがやかましいくらいに鳴き,飛び回る。
 街と街の間には,ロビーナ・コモンと名付けられた大きな公園がある。ドッグラン,砂浜,照明設備の整った運動場,背の高いヤシの木,ユーカリの木々が香りを放ち,合歓の木の赤い花が夕景に馴染む。
 犬を連れて歩く人に何度も出会う。ランニングをする人,ハダカで元気に散歩する人,杖をついてゆっくりと空気を味わう人,さまざまな人が,ゆったりとした敷地を持つ住宅街を歩き回る。 
 家の価値が低い日本とは違って,皆,家をきれいにして,その価値を誇っているかのようである。つくばに戻ったら,ロビーナの街にある家々に負けないくらい,自宅をきれいにしたいと思う。

南十字星の向こうに一個の輝く星を探す

あさのうみで


 生徒が難病を患って,ついに帰らぬ人となった。
 
   ずいぶんと早くに天国へいってしまったのですね。
   そちらで何かやることがあったのですか?
   ……
   きっと,君はそちらでするべき仕事があったのでしょう。
   先生は,そう思いました。
   君のことだから,
   常に前を見て,自分が正しいと思うことを,あちらでも,していくと思います。

   お父さんとお母さんはずいぶんと心配しています。
   でも,君はにっこりと笑って言うと思います。
   心配なんかするなよ,僕はしなくてはいけないことが
   こちらよりあちらの方にあるんだよ。
   だから,笑顔でいてほしいって。
   先生もそうだよ。
   いつもの笑顔で,がんばれって言ってね。
   そういう君の声が聞こえてきます。

   先生は,いま,地球の南の方で暮らしています。
   夜,外に出て,南十字星の星々の彼方に
   輝く君の星を探しています。
   先生は,君がまもなく南の空にも,ひかり輝く星になると信じています。
   先生の心の中にいるきみの笑顔を目印に
   毎晩,先生は君を探したいと思います。

ゴールドコーストの風

サーファーズ


 取手の学校にいる時,生徒を引率して,この地を訪問したことがある。
 目的地はアデレードの学校との交流,つまり,ホームステイして,長期夏休みのないオーストラリアの学校で,1ヶ月近く勉強をするという活動である。
 折しも,ブリスベーンでレジャ−をテーマにした万国博覧会が開催されていた。
 日程の都合上,アデレイドに入る前に,博覧会を見学し,ホテルはサーファーズパラダイスに取ったのだ。
 そのサーファーズの高層ビルの見える近くに,いま,娘が暮らしている。
 あの時は,まさか,この地に再び,しかも,娘が暮らす街へと来るとは想像だにできなかった。そこは観光で立ち寄った一回きりの街であったにすぎなかった。
 しかし,年月の経過は,この街と私を強い力で引き寄せた。 
 彼の地で,生活し,近所付き合いをし,働く場での,インドネシア人や,フイリピン人,もちろん,オーストラリア人と交流する娘の姿を見るにつけ,偉いものだと思う。
 
 ヤシの木の向こうに陽が落ちていく。澄んだ空気を橙色に染めて,ゴールドコーストの風が吹き抜けていく。

SAUDADE


 サウダージと発音するらしい。
 ブラジルの言葉だそうだ。ブラジル人のほとんどがこの言葉を信奉し,心の支えにしているという。 
 サウダージというのは,希望にみなぎる懐かしさと説明があった。
 ……‼︎? 少し,わからない。
 懐かしさとは,過去のある時点への郷愁である。あの時は良かったな。もう一度,あのようなことをしたいものだという時に使う心のあり方である。
 そんなことで思案をしていると,平澤興氏の文章に,手掛りになりような一文を発見した。
 『人生というのは,今日明日が手の中にあって,過去のことは失敗も成功も手を離れてある。』という文である。
 つまり,前を見ろということである。良きにつけ,悪しきにつけ,過去などに目をくれてはいけない。それはもはや,カスにすぎないということである。
 ならば,サウダージという考えも,同じではないか。
 今,うまくいかないことをそれだからと言って,諦めるのではなく,未来に先送りして,今しばらく待て。そして,夢を叶える高揚感の中に自分を置いておけ。
 そういうことだと得心した。

怠惰・狡猾・稚拙・下品の輩は去るべし


 これは,ある心臓外科医師が自分の病院に掲げている標語の一つである。
 これとは真逆の言葉もあった。『人に誠実・謙虚たれ。患者に真摯たれ。』
 後者の言葉は,私が教師になった最初の学校の校訓の一部でもあるので,極めて素直に納得した。人は常に誠実であり,謙虚でなくてはならない。
 患者に真摯たれは,生徒に真摯たれでも十分通じる。生徒も患者も,なにもわからないでいる。変な言い方であるが,教師も医師も,その「知恵」で『いい含める』こともできる。そうではなく,真摯に対せよというのである。至極当然である。 
 さて,冒頭の一節である。
 医師でも,医療機関に職を持つものでも,やはり,そのような性癖を持つ輩がいるのだと思った。
 大したものだと思うのは,この外科医師が明確に,言葉として,この4点の性癖を諌めていることである。
 以前,ある大学の関係者と話をすることがあった。最近の学生の流行りを知ることは教育指導上に大切と語り,流行り言葉を口にしてはおちゃらけていた。低レベルの学生に合わせることは教育の本質を忘れた「稚拙にして,下品なる」振る舞いである。
 どの世界もどの分野でも,主導権を握りたがる輩がいる。相手を騙し,陥れる。そういう手練手管を使う輩が「狡猾」なる人種である。
 「怠惰」,医師も教師も,「師」のつく人士はこうであってはいけない。
 かつて京都大学の総長を務めておられた神経解剖学の平澤興氏がこう述べている。
 『誰よりも我慢ができる人,誰よりも知識を求めてやまない人,苦しい時も悠然として笑顔でいられる人。こういう人が世界的に立派な人である。』
 かくありたいものである。

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nkgwhiro

Author:nkgwhiro
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《8/22  Tuesday》

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❣️<Facebook>で、『The silhouette:The person who sits down in a seashore bench
It's covered with a green tree and give the shade of a tree to two people. Many waves are surging over the beach.A vast sea and the sky spread over it.
人影 : 卸下腰到海岸的长凳的人。绿的树木落到身上,将树阴给予二人。向海滨的对面几个也波浪涌来。并且,到那个对面汪洋大海和天空扩展着。』の絵を公開しました。

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