海湖庄園之会

addams,ow;e;.,eh drakes;
ついこのあいだの光景がもう昔のように感じられるのです。花は散り、葉が茂り、太陽の日差しはますます力を帯びてきます。私たちがぼーっとしている間に、物事は移り変わっていくのだと、感じるのです。


 沛公旦日従百余騎、来見項王、至鴻門。謝曰……(司馬遷『史記』より)
 
 沛公とは、その後漢王朝初代皇帝になる劉邦のことです。
 項王とは、姓を項、名は籍、字を羽とする稀代の武将です。
 横暴なる秦王朝を打倒するため、楚国の懐王は、秦を滅ぼしたものを関中の王にすると宣言し、諸将を競わせました。
 知略と麾下の圧倒的な戦力を誇る項羽の軍と、百姓あがりの威勢のいい好漢、誰からも好かれるという幸運に恵まれた劉邦の軍が、最後に秦打倒の軍として残ります。

 そして、秦都咸陽に一番乗りをしたのは何を隠そう劉邦であったのです。
 しかし、懐王の約束通り漢中の王に、そうそう簡単になることができないのが政治の世界です。なぜなら、圧倒的な戦力を誇る項羽の軍勢がそこにあったからです。
 懐王の約束など、項羽の知略と軍の勢いからすれば、なんら意味のないものであったのです。
 そのため、劉邦はわずかに百騎ばかりの少人数で、項羽が待つ鴻門にでかけて行ったのです。
 
 前夜、項羽の叔父項伯が恩義のある敵将張良を密かに訪ねます。
 項羽が劉邦を謀反の罪で攻めるので、ともに逃げて欲しいというのです。しかし、張良は主人であり、人間的な魅力を感じている劉邦を裏切ることはできません。
 そこで、張良は項伯を連れて、劉邦の元にいき、すべてを話します。
 
 劉邦は、謀反などするはずがないとし、項伯に必死に言葉を尽くすのです。

 「咸陽に入ってこのかた、秦の宝物を奪う事もせず、ひたすら項羽将軍を待っていました。関に兵を置いたのは、盗賊と非常時に備えるためなのです。このことを項羽将軍に伝えて下さい。」

 項伯は、実直で裏表のない劉邦の人間性に触れます。
 それならば、明日朝、あなた自ら項羽に面会して、謝罪しなさい、私もあなたを守りますといいい、その言葉に従い、劉邦は鴻門に姿を見せたのです。

 これがかの有名な<鴻門の会>の発端です。

 時代は21世紀の今。
 ところは、美国佛罗里达州海湖庄園。
 時代の寵児、美国大統領の<特朗普>のもとを、中国の<核心>と呼ばれ、絶大な権力を持つ<周>が訪れました。
 国際関係上、本来は、美国大統領が中国を訪問するのが順としては妥当でありましたが、今回、<周>は、ヨーロッパ訪問から帰国の途次、立ち寄るとして、面子を保っての会談でした。
  
 美国は、為替操作嫌疑、貿易操作嫌疑、朝鮮への経済制裁逃れを問い詰めるために、中国主席を<冬の白宮>と言われるフロリダ州の海湖庄園こと<マール·ア·ラーゴ>に招いたのです。

 太平洋を二分割しようなどという傲慢な言い分、不当な価格設定で美国経済を貶める経済政策、自由と平等の旗印を掲げる美国のありようと体制を異にするかの国に対して、ぐうの音も出ないほどの会談にしなくてはならなかったのです。

 一計が案じられました。
 訪問客を歓待する夕食会、そろそろおひらきになる頃合い、食卓にはこの世界で最上のチョコレートケーキが出されました。
 美国大統領<特朗普>は、例のごとく、口端にちょっとした笑みを浮かべて、お知らせしたいことがあると、<周>の顔を覗き込んで言いました。
 素晴らしい歓待を受けて、人間関係ができたと信じる<周>は、明日の会議を、あの宿敵<安倍>と同じように高尔夫球(ゴルフ)でもやりながらやろうと誘いを受けるのではないかとほくそ笑んだのです。

 しかし、<特朗普>の口から発せられた言葉は、<周>の心胆を奪うものでした。

 「たった今、59発の巡航ミサイル「トマホーク」を、シリア空軍基地へ発射した。可愛い子供達を毒ガスで殺すような政府を許すことはできない。それをあなたに知らせたかった。」

 <周>は、この華やかな場で、<特朗普>の口から楽しそうに放たれた言葉の意味を了解できませんでした。

 しばしの沈黙の後、<周>は、もう一度おっしゃってくださいと丁寧に言ったのです。
 21世紀、美国佛罗里达州でなされた『海湖庄園之会』での勝負の決着はつきました。

 しかし、思い出して欲しいのです。
 鴻門の会を乗り切った劉邦は、やがて、項羽を破り、中国歴史上画期的な帝国を築き上げるのです。劉邦に土下座させた会議の後、項羽は、劉邦の軍に取り囲まれ、<四面楚歌>の状況を嘆き、<虞や虞や汝をいかんせん>と寂しげに謳いあげたのです。

 <周>は、『海湖庄園之会』で辛酸を嘗めたことにひたすら耐え、美国<特朗普>のいうままに、平壌との定期航路を閉鎖し、石炭船を追い返すのです。
 しかし一方、朝鮮国境に、30万の人民解放軍を進出させ、国産空母を世界最強空母として海域に浮かべたのです。
 
 ですから、美国の<特朗普>は、項羽のように、<四面美歌>をきき、彼を取り巻く美しき妻子たちと別れることにならぬよう、細心の留意を彼の国に注がなくてはなりません。

 歴史は未来を写す鏡なのです。


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何回もありがとうございます。

こんにちは。
コメントありがとうございます。
中国語では、欧米の固有名詞を「音」に近い漢字で表現するようです。
新華社がそれをやっているかどうかはわかりません。
でも、どこかで決めているんでしょうね。
中国国内で、バラバラでは困りますからね。
ちょっと、勉強してみようかと思います。
それでは、失礼します。

No title

今日は
昨日は何回も訪問させて頂きました。
京劇の覇王別妃のこと等思い出しながら、世の盛衰に思いを馳せております。
中國では外来語の翻訳は新華社が付けると聞いておりますが、今もそうでしょうか。
昨日はどう言う訳かコメントが反映しませんでしたの、再コメ致しました。
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nkgwhiro

Author:nkgwhiro
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《5/25 Thursday》
       
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