「平成の30年」は私たちに何をもたらしたのか

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シェークスピアの家を訪問した時、その駅のホームの端にあったものです。誇張しているわけでもなく、そこに掲げられているだけのものがかえって印象深く感じられたものです。この写真を撮っていると、何でこんなものを写真に撮るのかとそんな目つきのイギリス人がいたことも印象に残っているのです。


 1989年1月7日14時36分。

 唐突に、このような数字を出して、いったい何事かと訝る方もおられれば、あの日だとお分かりになる方もおられると思います。
 
 1989年1月7日の14時36分、それは、昭和の次の元号が「平成」に決定したことを政府から国民に告げられた日時なのです。
 あの白木の額に収められた「平成」なる墨字を見て、随分軽い文言になったなという思いを、正直のところ、私は抱いたのです。
 「昭和」があまりに激しくあった時代であり、また、長くもありましたから、なお一層、そう思ったのかもしれません。

 「昭和」と言っても、私は、この元号の時代は、前期20年と後期44年に分けるべきだと思っているのです。
 前期はいうまでもなく<大日本帝国>として、後期は<日本>としての区分です。
 もっと端的に言えば、戦争に邁進し、孤立していた日本と、世界の中に分け入り、経済を発展させ、平和を殊の外強調してきた日本とに分けるということです。

 1987年4月29日、昭和天皇は自らの誕生日祝宴の最中、体調の異変を生じられました。一旦は回復されましたが、翌年の9月19日の夜、吐血され、危篤状態に陥ったのです。
 それから崩御されるまでの111日間、日本はいわゆる「自粛モード」に入りました。

 崩御された時、私の家には、オーストラリアからの友人家族が宿泊していました。
 彼女は、この日の新聞を私に譲ってくれないかと申し出てきました。
 大きな文字で「崩御」と印刷された新聞を記念として持っておきたいというのです。
 私もハワイで、宿泊したホテルの近くにあったミリタリーグッツの販売店で、日本海軍の真珠湾攻撃時の新聞の復刻版を購入した経験があります。
 日本語をオーストラリアで教え、自らは柔道も行い、イタリア系移民の子孫である彼女も歴史的なこの出来事を一枚の新聞の記事でとめおきたかったに違いないと思ったのです。
 私は、いくつかの新聞を買ってきて、彼女に与えたのです。

 2016年8月8日、今上天皇は、テレビを通じて、ご譲位を希望される旨を発せられました。
 そのお言葉の中に、あの<自粛>へのご心配が語られていたのです。同時に、このようなお言葉もありました。

 『天皇の終焉に当たっては、重いもがりの行事がほぼ2ヶ月にわたって続き、その後、喪儀に関連する行事が、1年間続きます。』

 あの時、今上陛下は、崩御された父上のご遺体を見続けられたのです。
 それが「もがり」というものです。
 あの辛さをご自分のお子たちにさせたくはないという思いがひしひしと伝わってくるのです。
 ですから、自らが皇太子に天皇位を譲り、上皇として静かに暮らすというお考えに、多くの国民が諸手を挙げて賛同をしたのです。
 被災者の前に膝を床について、そして、戦地では深々と頭を下げるお姿を目にする国民に、陛下のお気持ちはまさに通じたと言えます。

 今年は、今上陛下がご即位された1989年1月8日から、2019年4月30日のご退位予定の日までの、30年113日11,070日の「平成時代」が、まさに最終章に入った一年の初めなのです。

 昭和は64年、後期昭和でも44年、そして、明治は45年、次に、室町幕府の時代、戦いの少なかった応永年間が35年、それに続く4番目の長さを誇るのが平成時代なのです。
 30年というのは、親のあとを継いでから、それを子に譲るまでの期間という意味もありますから、まさに、世代の交代を、今上陛下は文字通り行ったということになります。
 
 さて、この30年をどう位置づけるかは人それぞれであろうかと思います。
 
 でも、確かに言えることは、日本も世界も、その姿を大いに変化させた時代であったということです。
 世紀をまたいだことは、単に、21世紀になったというのではなく、私たちの生活や未来に多大の変容を及ぼす変革が推進されたということだと考えなくてはなりません。
 それは、20世紀の後半、天才たちによって描かれた空想の世界が現実化していったということを意味するのです。

 技術革新は、つまるところ、私たちの生活を根底から変えていったのです。
 きっと、ポスト平成時代には、私たちは考えもしない技術革新の中で、生活をする人間になっているはずです。
 それが素晴らしいことなのか、そうでないのかは、これまた人それぞれ異なることだと思います。いや、むしろ、人それぞれではなく、国によって程度の差が大きく出る時代になるのではないかと思っているのです。

 技術革新は、ともすると、国家により制御され、国家の勝手で手加減されるからです。
 日本は、自由の国ですから、国家により暴力的に、何かが制御されたりする国ではないことを祈りたいと思っています。
 
 そう考えると、人類がこれまでに経験しなかったまったく新しい時代を形成する基盤をこの平成という時代が築き上げてきたことに気がつくのです。

 そして、当初、その名を軽いと感じた平成の時代は、実はそうではなかったのだと考え直すのです。

 今上陛下と皇后陛下のお二人がおられた時代が終わることへの寂寥感と素晴らしい感動を与えてくれたことに対する感謝の念が沸き起こってくるのです。




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いい写真でしょう

イギリスで電車に乗ると、まるで、日本にいるように思うのです。
駅舎にしろ、改札にしろ、思えば、日本がイギリスを真似したわけですから当たり前です。
でも、あのような洒落たものは日本では滅多に見ることができません。
気に入っていただき、とても嬉しく思いました。
そして、平成の30年も先が見えてきました。
私たち一人一人が平成をしっかりと生きることが何よりも大切だと思っています。
浮雲さんもどうか、平成を有意義に、かつ、それから先を目指して頑張っていただきたいと
思います。

写真

写真が実にいい、好みです。
シンプルで黄色い文字もいい。
「へー、ここかあ」と想いや想像が広がっていきます。
駅舎の写真ではこうはいきませんね。

過ぎ去ろうとしている「平成」にも深く想いをめぐらせなければいけないなとも気付かせていただきました。
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