ちょっとした危機感がありまして

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昨年秋、枝を詰めた紅梅が見事に花をつけました。私は生まれ変わって、この春、花をつけました。お隣の蝋梅さんは来年作ということですから楽しみです。そうそう、ミモザさん、もうすぐ満開になると言っています、そんなことを語りかける咲きっぷりなのです。



 ヴァンクーバーから、太平洋を横断して、小牧空港に降りたちました。

 取手の学校にいた頃です。
 今では考えられないことですが、あの時、ひと学年千人を超える生徒がいたのです。
 千人ですよ。

 ですから、修学旅行は五隊に分かれて、時間と日にちをずらして、成田から出発をしたのです。

 しかし、私の隊は、成田発のJALがどうしても取れず、しかし、ヴァンクーバーのホテルでの一堂に会するパーテイに間に合わせるために、取手駅集合、東京駅から名古屋駅、そこからバスで小牧空港へとかなりの遠回りをしてカナダに向かったのです。
 そして、すべての日程をこなして、小牧に戻ってきたというわけなのです。

 名古屋駅の新幹線ホームで「ひかり」を待っている時、キヨスクの前の新聞売場にわずかに残っている夕刊に大きな活字が踊っていたのをはっきりと覚えています。

 1989年11月10日のことだったかと思います。

 9日、東ドイツ政府は、国民の旅行及び国外移住の大幅な規制緩和の政令をだしました。
 これは「事実上の旅行自由化」と受け取れる表現で発表されたもので、そのことで、ベルリン市民がベルリンの壁に殺到しました。
 あの情け容赦のない東ドイツ国境警備隊が、押し寄せる彼らに銃口を向けるのではなく、その門口を開放したのです。
 そして、10日、ベルリンの壁の撤去が始まるのです。

 私の見た夕刊の一面にあったのは、青年がつるはしで壁の上に立ち、それを振り下ろしている写真だったと思います。

 一週間ばかりのカナダ滞在でしたが、また、生徒の命を預かって出かけるのですからその準備で忙しく新聞を見る暇もなかったのですが、そんなすごいことがドイツで起こっているなどまったく気がつかないでいました。

 30年近くも東西を分断していた壁がたった1日でなくなるのです。

 これが契機となり、ヨーロッパは大変動を来たします。
 東欧の社会主義政権が続々と崩壊していくのです。
 
 そして、1992年、冷戦は終結しました。
 人類を分断していた自由主義陣営と社会主義陣営の戦いの決着がついたのです。
 誰もが、これからは自由と民主主義の時代が全世界を覆い、誰もが不自由な生活を強いられることはないと思ったのです。

 気がかりなあの中国も、豊かになれば、民主主義が進むに違いない、そうすれば、世界経済もより活発になろう、なぜなら、中国には10億の民が、まだ貧しくあるのだから、と誰もが思っていたのです。 

 だから、日本は、中国の「現代化」をあらゆる形で支援し、惜しみない援助をしたのです。
 中国も謙虚に日本、アメリカ、フランスなど欧州の先進国から学んでいったのです。
 優秀な人材を各国の大学に送り込み、勉学をさせ、技術を習得させてきたのです。

 あの時の中国の若者たちは、日本人が忘れていた学問に対する貪欲なまでの意欲を持っていました。何よりも、国を背景に努力する姿は、当時の日本人にはないものでありました。

 しかし、歴史は思い通りに行くことをいつでも拒みます。

 中国は、今や、日本を抜き去り、アメリカに次ぐ経済大国となってしまったのです。
 10億のすべての人が、同じ人民服を着て、自転車が怒涛のごとく道を占領し、毛沢東の標語を唱えていたあの人々が、すっかりと豊かになり、あまりに豊かになりすぎ、世界から顰蹙を買う始末にもなりました。

 一方、自由主義の先鋒、アメリカはへんちくりんな大統領を選びました。
 これまでの方法には寄らない、実に個性的な、しかし、思慮の足りない振る舞いで世界を混乱に陥れています。
 触れてはならない問題に一言を捧げ、捧げられた方はびっくり仰天、大騒ぎとなります。
 
 アメリカがそうならばと、欧州あたりで、似たような勢力がカマをもたげてきました。
 しかし、欧州の良心は、かろうじて、それを排除しました。しかし、いつなんどき、<まがい><もどき>が出てこないとも限りません。

 あの時、自由の名の下に、中国に期待した私たちは、今の中国のありように愕然としているのです。
 それがアジア・オセアニアの自由を標榜する人々の偽らざる心情です。

 自由世界を牽引するはずの新しい技術は、むしろ、中国のためにあったかのような錯覚さえも持つのです。この技術で、あの国の政府は10億の民の情報を一手に仕切ることができるのです。
 情報は管理され、支配の道具にされています。
 アップルもグーグルも、アメリカと自由主義を標榜する国のためではなく、自由とはおよそ異なる方向性を持つこの国の未来創造に手を貸しているのです。」
 ただ一つ、利益のために。

 ちょっと待てよ、歴史は妙な方向へと向かっているのか、とふと立ち止まるのです。

 その方がどんなにすばらしい政治家であろうとも任期がくれば去らなくてはなりません。
 あるいは、すばらしい政策を実行に移すために、定められた段取りを経なくては実行ができないというまどろこしさを持つのが、厄介な民主主義です。

 卓越した指導者とか、英邁な政治家思想家と持ち上げられても、それは単に優秀に見えるだけの一人の独裁者にすぎないのです。
 それを、私たちはあのベルリンの壁が崩れ去ってからの東欧の、そして、ソ連の崩壊の中で見てきたのです。その優秀に見えるだけの木偶の坊に、即断即決、物事が決められる時代になって行くのだとしたら、それは考えものです。

 アメリカ大統領が中国の憲法改正をたたえ、明らかに独裁を目指す方向に賛辞を与え、挙句に、自分もいつかはやってみたいと豪語しています。

 それが、彼一流のジョークだと笑っているのであれば、それは大きな間違いです。

 自由世界の先鋒であれば、危機感を表明しなくてはならないのです。
 彼ばかりではありません。
 自由と民主主義を標榜する国のネット世界では、何の考えもなく、無用に相手を誹謗することがまかり通っています。
 つまり、自由世界を危機に陥らせるそれら事象は、実は、自分たちが行っていることでもあるということなのです。

 目先の利害にだけ目を向けていては、私たちの世界は、とんでもない勢力に圧倒され、膝まづかされてしまうのです。




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