桜の舞い散る湖畔にて 

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ご近所に結構な佇まいのログハウスがありまして、その玄関先の様子を描いたものです。三つのものが調和よく置かれて、絵になる光景です。そのお宅に暮らす方の品の良さが見て取れると思っているのです。


 「北条大池」というのがつくばにあります。
 つくばでは有名な桜の名所なんです。

 池の中に、小島があり、池には鴨が群れをなし、池の周りに桜が植えられ、いま、年に一度の桜の満開の時を迎えているのです。
 その日も、いつもの体育館が取れなくて、筑波の麓の、北条大池のそばの体育館で卓球の練習です。
 私は、練習が始まる前、池を一周しようと少し早めに車を出しました。

 朝の九時前ですが、すでに、何人かの人が、カメラを片手に、ブラブラと池の周りを歩いていました。
 テレビで見る、ごった返す人並みもありませんし、桜の樹の下で宴会をしている様子すらもありません。
 ただ、桜が筑波の峰をバックに咲き誇っているそれだけの風景です。

 半周ほどしたあたりで、子供たちの声がしてきました。
 近所の子供たちでしょう。
 おや、ランドセルと背負っていると私思いました。
 そうか、この年度末、きっと、離任式があるんだと思ったのです。
 先生方が、転勤や退職で学校を去るのを、全校生徒で惜しむという式典です。
 これが済めば、学校は新年度に向けて一目散に活動が始まります。

 皆が、新しい年度の活動に入って行くのです。

 
 池の周りを、散策をしていると、オーストラリアに暮らす娘からラインが入りました。
 せっかくだからと、桜の様子をラインのビデオで見せてやりました。
 娘は、中学時代もテニス部に入っていたので、この池の、これから私が練習する体育館のある運動施設でテニスの試合をしたことがあるのです。
 懐かしいとこのビデオ映像をきっと見たに違いありません。
 孫も、初めて見る桜に感動したようです。
 今すぐ、飛行機に乗って行くと言い始めています。

 おや、今日は幼稚園はと尋ねます。
 普段は、幼稚園に行っている時間です。
 今日は、イースターで休日だというのです。
 朝、起きて、ベットを降りると、大きな足跡があることに気づき、孫は大騒ぎだったようです。
 早速、カゴを持って、家の中に隠されている卵探しの始まりです。
 その卵を全部見つけたので、私に報告がしたくてラインをしてきたのだと言います。

 日本にいれば、イースターなどという行事には関係なく、過ごしていただろうに、オーストラリアにいるために、卵探しに躍起になり、チョコできた卵とその中に入っているおもちゃに大喜びするのです。

 最近は、日曜日のたびに、ビーチに行って、遊んでいると言います。
 子供用のサーフボードも買ってもらい、さざ波のところで遊んでいるというのですから、これにも驚きです。
 幼稚園では、水泳の授業も始まり、もう、水に潜り、泳げるようにもなったというのです。

 子供の成長は、とりわけ、幼子の成長は早いものです。
 そうそう、私の唯一の女の子の孫も、次第に可愛さを増してきました。すぐに会えないのは残念なことですが、こうして、ラインで見れるのですから、便利な世の中になりました。

 そんなようなことを会話していると、ランドセルを背負った子が、おじさん何を一人で喋っているのと後ろから声をかけてきました。
 池に向かって、iPhoneを筑波の峰に向けて、一人喋っているのを見て、不思議なおじさんだと思ったのでしょう。
 
 今ね、おじさんの娘と話をしてるんだよと、画面を見せてやります。
 すると、その子、画面に向かって、おはようございますと大きな声でいうのです。
 娘も、画面の向こうで、おはようと言います。

 このおばさんは今地球の反対のオーストラリアというところにいるんだよと言うと、すごい遠いのと言うので、そうだよと、言います。
 すごいね、そんなに遠いところと話ができるんだね、と素晴らしい笑顔を見せます。

 さようならと手を振って、その子は、通学の列に戻って行きました。

 今朝は、昨日までの季節外れの気温も収まり、幾分過ごしやすい気温になるようです。
 それを裏付けるように、太陽のある東の空は薄雲がかかっています。太陽の光が幾分雲によって遮断されて気温が上がらないに違いありません。

 その時です、池に群れていた鴨の群れが、羽音を立てて、一斉に飛び立ったのです。
 誰が石でも投げて脅したのかとも思いましたが、その気配はありません。
 ただ、一陣の風が筑波の峰から吹き降りてきたのです。
 と同時に、池の周りの桜の木の、薄桃色の小さな花びらが、一斉に舞い上がったのです。

 鴨の点在する光景から、池は、薄桃色の花びらが水面に浮かぶ光景に一気に転じたのです。
 まるで、モノトーンから総天然色になったかのような、それは変貌であったのです。
 
 薄曇りの中、舞い散る桜ばなのなんと神妙なことよと私は息を呑んだのでした。





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