原則を知った上で臨機応変に処するが王道なり

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『初めてのサングラス』と題して描いた水彩画。大きい子はちゃんとかけて、一番小さい子は、見える世界の変化に驚き、両手をグラスにおきます。真ん中の子は、どうやってかけるのかも分からず、逆さまにかけておどけます。三者三様の姿です。



 こんな問題があります。

  ⑴ 「おはようございます」と言いながらお辞儀をする。
  ⑵ 「おはようございます」と言ったあとでお辞儀をする。
  ⑶ お辞儀のあと「おはようございます」と言う。

 皆さんは、どれが正しい挨拶の仕方であると思われますか。

 挨拶など、形はどうであれ、心のこもったものであれば、なんでもいいのだから、どれもこれも正しいとお答えになった方はおりませんか。
 確かに、その通りです。

 横丁で、ご近所さんに会った時、とっさに、⑴のように、言葉と同時にお辞儀をするようなこともあるでしょう。
 あるいは、会社の廊下で、上司に出くわし、とっさに、⑶のように、お辞儀をして、その後、「おはようございます」と声を出すということもあります。
 ですから、一概にどれが正しいとかは言えないのだという理屈になります。

 しかし、礼儀にも「原則」というものがあるのです。

 私的な場面での礼儀は、マナーとかエチケットと呼ばれます。これが公的な、例えば、国際会議だとか、国家間でのやり取りでは、プロトコルなどと呼ばれます。

 いつだったか、中国の国家主席が日本の首相と会う時、仏頂面して、日の丸さえも用意せずということがありましたが、これなどプロトコルに違反している恥ずべき行為なのです。

 このプロトコルの原則というのは、四つあります。

  序列に気を配ること。
  女性は男性の右側に着くこと。
  相互主義であるべきこと。
  その国の習慣に従うこと。
 
 どれもこれもさして難しいことではありません。言うなれば、常識的なことばかりで、これがあって、国際間、あるいは、公的な場での話がうまく進むということなのです。

 エチケットやマナーでも一定の原則というものがありますが、要は、相手への敬意を示し、相手を不快にさせないという点に落ち着くものでなくてはなりません。
 そういう点で、先ほどの3つの項目は、どれも間違いではないとも言えるのですが、問題になるからには、正しいものがあって、そうでないものがあるということになります。

 実は、この問題は、小学生低学年が使用する「道徳」の教科書にある問題なのです。

 答えは、⑵ です。
 
 低学年の子たちに、礼儀の本来あるべき形を教えるのが教科書ですから、まず、その正しさを教え、そして、その場その場にあった対応をして欲しいというのが、おそらく、本教材の狙いだと思うのです。

 では、⑵ の「「おはようございます」と言ったあとでお辞儀をする。」というのが正しいとする根拠は何かと言うことになります。
 これは礼儀における<語先後礼>の原則に則っているということなのです。

 一般企業などで行われている新人研修で、「あ=明るくアイコンタクト、い=いつでも、さ=先に、つ=続いてお辞儀」と教わった方もおられるのではないでしょうか。
 ここでも、<語先後礼>の原則が示されています。

 小さい頃に、挨拶の原則を身につけておくということが、この「道徳」の教科書が問いかけた問題の主題というわけなのです。

 先だって、新聞の端っこに、こんな記事が載っていました。

 オランダの首相が、中国を訪問するに際して、同行記者団及び企業研究機関に「通達」を出しました。
 情報漏洩の恐れがあるので、持参するコンピューターから機密情報を抜いておいてほしいというのがそれです。

 配布された書類には、こうも記載されていました。

 「中国政府は、あなたやあなたの企業のすべてを知りたがっている。中国ではコンピューターと電話はすべて傍受されていると想定するように。」

 さらに、「情報漏洩を防ぐため、コンピューターに保存する情報は必要最小限とし、残りは削除すること。中国側から贈られたUSBメモリーは使用を禁止とする。オランダで使っていた携帯電話は電源を切り、現地で購入するプリペイドカード式携帯を使用すること」などの対策を指示したのです。

 オランダ政府関係者には、不要なアプリを削除した携帯電話が支給され、必要な重要文書は印刷して運ばれたというのですから、オランダ政府のありようは徹底しています。

 先に示した四つのプロトコルに合致していなどころか、失礼な対応であることは間違いありません。
 しかし、そうだとわかっていても、国益を守るためには必要な処置だというわけです。

 それにしても、欧州の国というのは、露骨に対応しますね。
 露骨に対応された中国がどのように反応したのかはわかりませんが、日本にやってくる国の政府や団体がそのような姿勢を示すことのないよう、「礼の原則」は守っていきたいものです。

 つまり、他国がそうせざるを得ない国のあり方であってはならないということです。
 
 礼とは、原則を守った上で、臨機応変に、心を込めて対応するものなのです。
 ですから、掲げた問題は、それを子供たちに教え、未来の日本が無礼な国にならぬようにしたい、そういう狙いもあるものだと私は思っているのです。




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