ルンバの名前は私の名前

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ロンドンのコベントガーデンだったか。金銀に塗られ、金銀の衣装を着た男女の姿を見ました。微動だにせず銅像のように立っているだけです。思いました。彼らは夫婦だろうか、1日、こうしてどのくらいのお金を集めるのだろうか、そんなくだらないことを思って、ふと思いました。好きなことをして、つまり、賃金労働をせずに、こうして生きる人の自由さを。


 オーストラリアに暮らす孫に、「贈り物」を航空便で送ってやりました。

 オーストラリアのお菓子ではアイスクリームが好きなようです。
 車で売りにくるオージー訛りのきついアイスクリーム屋さんが家の近くにくると大急ぎで家を出て行く孫です。
 でも、本当に好きなのは、日本に来た時、自動販売機で売られていたアンパンマンの絵柄のある小さいジュースなのです。
 以来、アンパンマンの絵柄を見ると、それがラムネであっても、チョコであっても、好きになるようです。

 なぜ、子供はアンパンマンが好きなのかなどと考えたりもします。
 孫は、アンパンマンのストーリーを知りません。漫画もテレビ番組も見ていないのです。ですから、そこにバイキンマンなどがいることも、自分のほっぺたをちぎって人助けをする正義の味方であることも知らないはずです。

 ただ、あの丸い顔が、好きで、マントをしている姿が気に入っているだけなのです。
 電車に乗っても、ショッピングセンターに行っても、そこかしこに、あの丸い赤いほっぺをしたアンパンマンの姿を見るので、きっと、気に入ったのではないかと思っているのです。

 娘からの送られてくるラインの写真をみると、いつも、スパイーダーマンの姿をしているのです。
 日曜日、ビーチに行く時も、ゴールドコーストでの盆踊りの際にも、フェステイバルで、フェイスペインティングをしている時も、その出で立ちであったので、他に何か着せてやったらと言うと、これが気に入って、他のを着たがらないというのです。

 どうやらマントが気に入っているようなのです。
 きっと、アンパンマンと同じだと思っているのに違いありません。
 
 さて、荷物が届き、興奮している姿がラインで送られて来ました。

 字はまだ読めないのに、荷物の送り状を手でなぞり、チョコがどうだの、ラムネは酸っぱいなどと言っています。
 そのうち、ママのところに行って、私が来週家にくると書いてあると誇らしげに言っているのです。
 
 うるさいJIJIだと言われないうちが華だと思って、私はにこやかにその姿を見ているのです。

 下の子が、床を這い回るようになりました。
 娘たち家族は靴を脱いで、家の中では過ごしていますが、近所の人、電気工事の人はそれと気がつかず、靴を履いたまま、家の中に入って来ます。
 彼らは床に絨毯がひいてあっても平然と靴のまま入って来ますから、生活習慣とは恐ろしいものです。
 そして、かの地に暮らす娘たちも、たいして気にはしていないようですから、これまた恐ろしいものです。

 二番目になると、親というのは、子育てのコツもつかむようで、いや、そうではなくて、さほど気にして赤ん坊を取り扱うことはないと悟るのでしょうか、思いの外ぞんざいになります。

 しかし、土足で上がって来たままの床を赤ん坊がはいはいして、それも、なんでも口に入れるのが赤ん坊です。二番目とともなると、一番目とは違って活発になるのは、どの家も同じです。
 で、なんとかならないのか考えてはと言ったのです。
 
 そしたら、マーケットのポイントがたまり、ルンバを貰ったと言いますから、安心したのです。

 最近、上の子は家族の名前を言えるようになり、私の名前もきちんと言えるようになったのですが、このルンバ、iPhoneを通して作動させることができ、そのために名前をつけなくてはならず、孫がいうには、「私の名」が良いと言い、そうしたというのです。

 その動画がラインで送られて来ました。

 「私の名」を叫んで、孫はルンバの後を追いかけています。
 勝手に動きますから、「私」はどこにいると探していたり、電池が切れて止まっていると、「私」が死んだと叫んでいるのです。
 はいはいをし始めた下の子は、「私」を思い切り叩き、その上に乗っては「私」の動きを止めています。

 きっと、「私」はこの家では長持ちはしないと、私は思っているのです。

 ものに名前をつけるということは親しみが湧く行為です。
 孫たちは「私の名前」を、ルンバにつけ、「私」を追いかけ、「私」を叩き、好き勝手に遊んでいるのです。
 最近は、娘たちまで、「私」を呼び捨てにして、「私」はちゃんと働いているかとか言っているのですからどうしようもありません。

 親しみを込めて名付けてくれたのですが、私にとっては、どこか腑に落ちない気がしてならないのです。




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No title

おうおうおう!

羨ましいですね (*'ω'*)

何か、楽しいお孫さんの様子が目の前に浮かんでくるようです。お幸せに!
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