爪の垢

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日差しの強かった日の夕暮れの光景です。圧倒的に夕日が美しいと感じるのはなぜかなと考えると、多分に、1日をやり過ごしたという満足感があるからだと思ったのです。たった、それだけの感じが美意識にも影響を与えるんだと同時に思いました。



 どういうわけか、センター試験の折には、教師が出張扱いで試験会場に出向くことが、どの学校でも習慣化しているようです。
 大体は、当該学年の教師が、二日間のどちらかに割り当てられて行くことになります。

 つくばにある大学の試験会場は、時には雪模様になるくらいの寒い時期です。
 雪はなくても、霜が降りて、吐く息も白く、皆、背中をまるめて、自分の学校の生徒がやってくるのを待ちます。
 そして、それとわかる顔を見つけると声をかけます。生徒は照れ臭そうに挨拶をします。 
 そして、学校によっては、ひとかたまりになって、教師から激励を受けるのです。

 そういえば、中学を持っている私学では、塾の先生がそれをやります。
 これまた寒い中です。
 学校では、待機所を作り、ストーブと暖かいお茶を用意し、日頃お世話になり、受験生を送ってくれた塾の先生方への配慮を形で表すのです。

 塾の先生方は、午後から夜にかけての仕事がありますから、一旦家に戻り、一休みして、塾に出勤するのでしょう。塾生たちが試験会場に消えると帰って行きます。

 しかし、センター試験では、その日の試験が終わったときも、ほとんどの学校の教師は大学構内に残っているのです。
 それは、受験を終わった生徒から、「出来不出来」の状況、今年の出題の傾向を聞くためです。
 誠に熱心です。 
 加えて、明日の試験があれば、激励を、すべてが終わっていれば、慰労の言葉をかけるためです。
 本当に教師というのは熱心です。
 わずかばかりの出張費で、土曜日曜に、ここまでやるのですから、敬服の至りではあります。

 ところが、先だって、新聞の社会面の端に、わずかばかりの記事が申し訳なさそうに掲載されていました。うっかりすると見落としそうな記事でした。

 センター試験で試験会場に詰めていた教師が飲酒して、大声で騒ぎ、それを止めた同僚の胸ぐらをつかんだのだいうのです。
 三ヶ月も前のことが今になっってこうして記事になったのは、その教師への処分が公になり、新聞が記事にしたということなのでしょう。
 
 しかし、よりによって、生徒たちが試験を受けているその側で飲酒、さらには暴れるというのでは、洒落にもなりません。

 教師とか警察官、自衛官などもそうですが、ちょっと変なことをすれば、すぐに取り上げられ、世間から非難を浴びます。
 もちろん、非難を浴びるようなことをしているのですから、当然といえば当然なのですが、やはり、人のために尽くす職分であるから、なおのこと、世間は厳しく見るのだとつくづく思うのです。

 取手の学校にいたときの上司は、公立中学の校長が尋ねてきた時、怒鳴り飛ばし、追い出したことがあります。

 私学にとっては、それも、出来たばかりで生徒集めに汲々としている私学にとっては、公立の校長はトップレベルの客人です。それを怒鳴り飛ばして追い返すなどとんでもないと誰しも思います。

 でも、それには怒鳴り飛ばさねくてはいけない理由があったのです。
 今でも、その傾向があると思いますが、事務長とか教頭というのは、公立を定年で退職した方にしてもらう私学が多いのです。
 仕事に精通しているということもありますが、何よりも募集上の配慮からです。
 その時も、事務長の後輩ということで訪問をしてくれたのですが、上司の部屋で、教師らしからぬ下世話な話に及んだのです。
 それを上司は怒ったのです。

 生徒を預かるというのは、そういうことなのだと若い教師半人前の教師であった私など大いに感心した次第なのです。
 
 仮に、その与太話をそのまま放置すれば、あの学校の上司はそんな話をしていたと言われかねません。自分ではそのような話をしていなくても、話というのはまわり巡ってすり替えられるものです。
 そして、それが学校の評価、ひいては、生徒の名誉にも関わってくるのです。
 ですから、怒鳴り、放逐することで、あの上司はおかしいとは伝わりますが、学校と生徒の名誉は守られるということになるのです。

 よその学校の方の話ですが、県の私学が集まっての宿泊研修の際のことです。
 一人の上司が酒を飲みません。
 この研修会を主催する立場にあるから、自分は現在行われている生徒の校外研修に欠席し、教頭を行かせている。もし、万が一、何かあった時に、酒を飲んでいたではすまない。すぐにでも、そちらに行く態勢を整えている。だから、飲まないのだと。
 そんなバカなことをする教師が今時いるかと、随分と酒を飲んだ他校の上司たち、よく見ると、どの方も公立から呼ばれて学校を任されている方々です。その方々が酒を進めているのです。

 センター試験で飲酒し、大暴れした教師の記事を見て、思い浮かんだのはそれら二つの出来事でした。

 人間というのは、常日頃こそが大切なのだとつくづく思ったのです。
 それは堅苦しいとか、不自由だとか、そういう問題ではなく、人として当たり前に、当たり前のことを行うことのできる勇気だと思うのです。

 よその学校に来て、如何に親しいかつての仲間がいたとしても、下世話な話をすることはその方の品性が卑しいことであるし、部下に任せておけばいいのだと偉そうに先輩ぶるのもまた品格にもとる行為なのです。

 それをはねのけ、己の「信」を貫き通すことができることが人としのあるべき姿であると、あらためて思ったのです。

 いや、センター試験の会場で酒を飲んだ教師ばかりではありません。
 同じような類の輩は、あそこにも、そちらにもいます。

 そういう人に、ここで述べた二人の上司の爪の垢でも煎じて飲ませてあげたいと思っているのです。




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いつもありがとうございます

自分を守ると言うことは。そのくらいのことをしなくてはいけないのだと言うことです。
社会の批判が恐ろしいからと簡単に卑下するのですはなく、その背後に守るべき対象がいると言うことです。
そうした意識がないから、勝手に録音を許し、さらけ出されるのです。自分にとって大切なことをおろそかにするから忖度などと
疑われ、攻撃を受けるのです。
頭はいいのでしょうかが、甘いなと思っているのです。
また、コメントお待ちしています。

コメントありがとうございます

てかとさん
コメントありがとうございます。どの世界にも何か言いたい人というのはいるものです。
その中で、自分を保つと言うことがいかに大切かと言うことを伝えたいのです。
人から無体だと言われても、自分を保つことが、多くの問題を良い方向に持って行くのだと思っています。
ですから、昨今のいじめに近い出来事をみると情けなくなるのです。
これからも、読んでいただければ、嬉しいと思います。

No title

正直なところ、「どのように、どの程度下世話だったのか」が知りたいところですが(笑)、それは教えていただけないでしょうから、判断保留・・・しかし、相当に酷かったことは容易に想像がつきます。

No title

公の仕事につく人たちは身支度や覚悟をどうしても追及されがちですよね。
わたしたちと同じ人間なのに責任だけは倍以上、やり玉にあげられるし、なぜその職業についたのかってくらい。
教師ってのはストレスたまる仕事ってのは理解できます。
ブログで教師のひとの記事を読むと保護者への怒りと不平不満がものすごいあるので飲んでないとやってられないってのもすこし理解できちゃいます。
教師なんだからしっかりしろ、とはとても言えないです。
わたしなら教職についてもモンペと対話したら3秒で辞表だす自信があります。
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