褒姒の烽火と元禄の早馬

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ゴールドコーストの海岸といえば、この小屋が出てきます。小屋などと言うと、怒られるかもしれません。ロッジにしておきましょうか。ライフセーバーのロッジです。何気にクールなんですね。


 司馬遷『史記』の「周本紀」にこんな話があります。

 西周の幽王の三年のこと、王は襃姒(ほうじ)なる美しい女を一目見て愛するようになり、やがて子の伯服が生まれました。
 しかし、美しい褒姒ですが、滅多に笑うことがありませんでした。王はなんとか笑わそうとしました。
 ある時、王は烽火をあげさせ、太鼓を打ち鳴らさせました。
すると、諸将たちは慌てて駆けつけて来たのです。
 血眼になって駆けつけるその諸将たちを見て、褒姒は笑ったのです。

 以後、王は褒姒を笑わすために、度々烽火をあげさせたと言います。諸将は、次第に、烽火があがっても馳せ参じることがなくなったということです。
 
 その後、敵が攻めて来たとき烽火をあげても誰も来なくて、ついに西周は滅び、王は殺害されてしまったのです。

 烽火とは狼煙(のろし)のことです。
 中国では夷狄が攻め込んで来たことを、一刻も早く都に知らせるため、各所に作られ、当時としては最も早い通信手段としてありました。

 日本の江戸時代にはこんなことがありました。

 主君が刃傷沙汰を起こし、切腹の上、御家断絶となった赤穂藩では、早籠を使い、十七日かかる日程をわずか五日で国家老大石内蔵助に伝えました。

 赤穂浪士が武士としての本懐を遂げることができたのは、この五日で情報を伝達することができたということが大きく作用しているのではないかと推測しているのです。
 情報が遅くては、心理に多大な影響を与えます。
 つまり、ある種の「冷め」た感情が生まれるからです。冷めた感情では、命を賭した仇討、武士の本懐を遂げることはできません。
 
 昔から、情報伝達というのは、国家の浮沈、人の実行力などに、多大の影響を与えて来ているのです。

 それが嘘であったりすれば、情報の信用度は落ちるのです。しまいには、国家転覆に至るのです。また、情報の遅滞があれば、これもまた国家の損失につながります。

 しかし、正確な情報ってなんだろうと思うことがあるのです。

 新聞がそう言えば、そうであると私たちは信じるしかないのです。テレビは、知ったかぶりの大学の先生や評論家たちが、最近はお笑いタレントまでが意見を述べてああだこうだとやりあっています。
 そんなことを思えば、かつて太平洋戦争開戦の責任の一翼を担った新聞より、テレビで責任も何もない連中がああだこうだとやりあっているのを見ていた方が健全であるとさえ思うのです。
 なぜなら、くだらないけれどいろいろな意見を聞けて、どれが自分にとって正しいと思われる情報か、察しがつくからです。

 そんなことを思えば、ネットだって同様です。
 いや、むしろ、ネットの方が、権威者ぶらない点で好感が持てます。右にしろ、左にしろ、中道にしろ、率直に自分の見解が披瀝されているからです。
 それに、ネットの方が、事実をいち早く伝えている、そんな気さえするのです。

 北朝鮮を巡って、環球時報の記事に、こんな表題が並んでいました。
 <朝鲜宣布停止核试 特朗普表欢迎,青瓦台:是有意义的进展,日本称不满:会继续施压>

 朝鮮の核実験停止宣言に対して、トランプは歓迎を表明、青瓦台も意義ある進展と。しかし、日本は不満を述べ、さらなる圧力の継続を求める、というような文言です。

 世界がこっちへ行けと言っているのに、日本だけあっちへと言っていると述べているのです。

 これを読んで、日本は意地が悪い、評価するということを知らないと思う中国人も多数生まれてくるのではないかと思います。
 皆、平和を望んでいるのに、日本だけが戦争へと歩を進めていると。

 これが中国共産党の意図であることを察知できれば、なんのことはないのですが、圧倒的多数の国外にも出られない中国人民は、我らの、いや、中国を中心とする世界の敵であると日本を認識するのです。

 一方、日本の新聞には、小さい記事でしたが、日本国外相が2020年までに、北朝鮮の核廃絶をしなくてはならないと発言したことを、アメリカ現大統領の任期がそこまでで終わると深読みした記事がありました。
 トランプの次の大統領では、この動きが鈍り、それを北は待っているに違いないと日本の外相は考えているというのです。
 トランプが聞いたら怒りそうな分析であります。
 
 でも、これほど的を射た外相の発言も、誰だかわかりませんが新聞記者の解説もないと思っているのです。

 それはまったくの事実だからです。
 中国共産党の機関紙環球時報がことさら広報に徹し、自己に都合のいい記事を操作し続けていることに対して、日本の新聞は、「事実」を述べようと取り組んでいるからです。

 環球時報の記事は、まさに「褒姒の烽火」なのです。
 日本の外相と、それを伝え、分析する日本のその新聞記事は、あの「元禄の早馬」で伝えられたホットな知らせであるのです。
 
 そんなことを思うと、元禄の時代も、平成の時代も、何か共通するものを感じ取ることができるのです。
 もちろん、意図する何かを実現すると言う点でです。




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