それは不作を期待してのことからではありません

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道端で誰にも注目されずに、しかし、ほんの隙間で生きている花々もまた美しいものです。そんな花々をじっくりと見ることはありませんが、心の端っこでこいつ頑張って生きているなといつも思うようにしているのです。だって、私もそうだからです。言うならば、「同志」なのですから。


 昨年の11月に蒔いたソラマメの種が芽を出し、冬の寒さに耐えて、その枝に花が咲かせました。そして今、サヤが天を向いて日に日に大きさを増して来ています。
 いつもは、7月にならないと摘むこともできなかったのですが、今年は案外早くにホクホクの焼きソラマメをいただけそうです。

 この連休中には、落花生も植え込みました。
 初冬には、たくさんのピーナッツをもたらしてくれると楽しみにしているのです。

 植物というのは、実に期待を裏切りません。
 水をやり、適度な肥料を施し、毎日声をかけ、見つめてやれば、豊かに実ってくれます。

 しかし、人間というのはそうもいかないようです。
 
 仕事終わりに、ご馳走をしてやっても、時には目をかけてやっても、いまの若者はそうそう容易にはなびかないものだと嘆く老練の方のインタビューの言葉を耳にしました。
 むしろ、期待をしていたのに、後ろ足で泥をかけるかのように、去っていってしまうというのです。
 
 しかし、若者の方から見れば、こちらからご馳走をしてくれと頼んだわけではないし、だいたい、この会社に生涯を埋めるなんて思ってはいないのだから、ひとり勝手に思われても困るということになるのです。

 会社という畑に、人という種、ないしは、株をおいても、人というのはそうやすやすとは育たないということなのかもしれません。

 学校にいる時、いつも不平ばかりを言っている男がいました。
 ある時、私が事務室で個人的な手続きをしている時、奥のガラスで仕切られた部屋で、その男が、いつも不平の対象としている男に対して、妙に親密な振る舞いに興じているのを垣間見たことがありました。
 この男は、二つの言葉を操っていると、その時、思ったのです。
 同時に、信用のおけない人間だとも思い、私は見えない一線を画して、その男に対していたのです。
 
 その学校で懇意にしていた先生から、先日、電話があり、たわいもない世間話に興じました。
 その折、「そうそう、彼のこと覚えていますか。今度、抜擢されて、それなりの役職につくことになったんですよ」って、言うのです。
 その言葉尻に、一種の不快感みたいなものを感じたので、「彼も、これからは、不平ばかりも言ってられないね」と、私言ったんです。
 そしたら、「不平を言うんではなくて、自分のこと、とやかく言うことは許さない、学校をさらによくするために、協力してくれ」って、職員会議の席で言って、皆、机の前の本棚の影に隠れて、「ばかなことを言う奴だ、それを拒んできたのはお前ではないか」って、そう思っていたと言うんです
 私、その話を聞いて、思わず吹いてしまったのです。

 人というのは、まことに厚かましい存在であり、ぬけぬけと良くもまぁこうものを言えると思ったからなのです。

 しかし、その場にはもういない私ですから、幾分冷静にこの男のことを分析することができたのです。
 きっと、この男は、弱い精神を持っているに違いないと。

 だから、何かを言われると、そのことを根に持って、不平不満をまくし立て、同じような境遇にある人間もまた、彼に同調して、お互いがお互いの傷を舐めあうという最悪の形になるのだと。
 そうした悪しき環境に、組織にいれば、おかれることは多々あります。
 軽々にその場にいれば、同じ仲間にされてしまう、そうではなくても、その人間の心がそのようになってしまうものです。
 ですから、私、そういう場に出くわした時は、そっとその場から離れるようにしていたのです。

 私の心が、低次元の、人の足をすくう、そうではなくても、心であざ笑うようであってはならないと思ったからです。

 人というのは複雑な存在です。
 二枚舌を弄する男が、信任を得て、それまでの自分を悔い改めるというのですから。
 でも、それが世の中なのかもしれません。
 二枚舌の彼には、きっと、信任を得るだけの何か力があったということなのです。

 我が家の小さな畑に根付いたトマトも、キュウリも、それにスイカも、きっと豊かな夏の実りを見せてくれるでしょう。
 はて、あの学校の畑に巻かれたという二枚舌の男の芽はすくすくと育つのかしらと不安と期待が折り混じって、私は数年先に、何らかの収穫があるのか、それとも不作として出てくるのか、大いに興味を抱いているのです。

 また、何かあったら、連絡してよと言って、私は電話を切ったのです。

 いや、決して、不作を期待してのことからではありません。
 人間のありようがいかなる結果をもたらすか、科学的に知りたいという一念からなのです。




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たいしたことではないのですが、その出会いや言葉が、生涯を左右する生き方に反映されていることに気がつくのです。
そして、自らの、他者に影響されない、あるいは、政治的に作用されない、自分だけの風を見出すことにつながっていくことにも気づくのです。
我は我、我が人生は、我が内に吹く風によって決するのであって、流される風に左右はされないという域に達するのです。>

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