してやったり、東高西低現象

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道端の花に蜂の姿が、こちらが近づいても何も気にせず、ひたすら蜜を堪能、こうでなくては生きていけないのだ。足に花粉をいっぱいつけて、きっと、花も喜んでいるんだろうと、そっと離れたのでした。


 「西高東低」なら聞いたことがあるけれど、「東高西低」というのは初耳。
 いくらなんでも、勝手に言葉を作らんで欲しいとクレームを出されかねませんが、まぁ、ちょっと聞いてください。

 先日、新聞に2020東京五輪マラソン競歩コースが発表されました。
 それを見て、私、「してやったり、東高西低現象だ」と思ったのです。

 思えば、私、いくばくかの劣等意識を持って、青年時代を送っていたのです。

 新宿角筈の喫茶店「風月堂」に入り浸り、世の中を斜に構えて見ていた青春の頃です。
 その頃、竹ノ塚の家にはほとんど戻らず、三鷹と下落合の友人のアパートを行ったり来たり、挙句に通ってもいない友人の大学の世田谷自治寮に入り込みと随分と迷惑をかけていた無法者の時代です。

 で、一体どういう劣等意識かと言いますと、それは東京の西部地区のけたたましいくらいの開発を見て、これこそ「新東京」のあるべき姿であり、自分が暮らす東部地区は昔ながらの狭い空間に人が詰め込まれて嫌になってしまう、そんな意識であったのです。
 だって、浅草なんて、寺があるだけで、爺さん婆さんがいくだけ。
 川向こうの玉の井は、荷風の小説で描かれて入るけれど、今はその面影もなく、下町の下卑た街並みがそこにあるだけ、さらに、竹ノ塚に通じる路線の途中にある北千住など、誰も寄り付くこともしません。そこで生まれたからしょうがなくて、そこに暮らしている、そんな感じだったのです。

 竹ノ塚ってどこと聞かれて、浅草から、北千住を経てというだけで、なんか小馬鹿にされ、鼻であしらわれた感じがしていたのです。
 下落合とか三鷹、そこに住んでいる友人は佐賀と熊本から出てきた、私なんかよりずっと田舎者でしたが、その田舎者でさえ、北千住より下落合が言いに決まっているじゃんと、覚えたての横浜訛りで言う始末です。

 挙句に、下落合から千歳船橋に引っ越すから手伝えというんです。
 あそこにあった森繁久弥の家を見て、竹ノ塚にあった先代の三遊亭円楽の家とは違うと私自身が思ってしまうんですから嫌になります。
 何度か千歳船橋に行くようになりますが、森繁久彌が歩いている姿は見ませんでしたが、竹ノ塚から電車に乗るとあの面長の円楽が電車に乗って、浅草か上野の高座に行く姿をまま見ることができたのです。

 あの頃の東京都は、随分と多摩地区、東京の西部地区に肩入れをしていたものだと思います。
 私の叔母が東伏見に家を建てて暮らしていました。
 その叔母の、つまり、母の妹の実家は葛飾の下町も下町、空襲を逃れ、戦前からの道筋が寸分違わず残っているという町並みです。
 母の実家によく出かけ、たまに、叔母のいる東伏見に行くと、下町のゴミゴミしたところに暮らす私には、まるで別世界にきたような「武蔵野の雰囲気」に圧倒されていたのです。

 そんな私の劣等意識に変化が出てきたのは、あの「スカイツリー」ができた頃でした。

 明らかに、東京がシフトを変えた、そう思ったのです。
 さらに、決定的になったのが、外国人たちの興味関心が浅草、上野、両国へと注がれるようになったことでした。
 浅草に行けば、まるで、外国にきたような感じです。
 私の中にあった劣等意識が少しずつ薄らいでいったのです。
 北千住にも大学がキャンパスを建て、あの湿った街が若返えりました。今や、住みたい街の一つに数えられ、吉祥寺を追い抜くという様相を呈しているのです。

 発表された東京2020のマラソンコースを見て、明らかに「してやったり、東高西低現象」と思ったのは、東京1964と出発点は同じ、しかし、かつては西に一直線、調布までのコースをとった1964と異なり、2020は東に向かうのです。

 市ヶ谷に出て、飯田橋、水道橋、神田を通って皇居に出ます。 
 この一帯は私が早稲田の学生であったときによく歩いた道筋です。

 そして、東京駅に戻り、銀座を東京タワーのある芝まで、折り返して、浅草へと隅田川沿いを進みます。
 この一帯は、子供の頃から出かけていた懐かしい街です。
 両親との思い出、従兄弟たちとの思い出、さらには学生時代の淡い思い出が蘇ってくる道筋なのです。

 なんだか、2020オリンピック委員会は、私の思い出の場所、好きなところを巡ってくれて、大いに感謝をしているところなのです。

 私の中の潜在的な劣等意識が消え去ったことで、私にはちょっとした夢が芽生えました。
 私のロードバイク、トレックのマドン4.7で、あの<しまなみ海道>を走ることと、そして、この2020東京コースを走ることなのです。
 
 私のことですから、口が先行して、実現には随分と時間がかかるのですが、それでも、なんだかんだとやり遂げてきていますから、きっと、これらもそう遠くない先々に実現すると思っているんです。




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