トイレが空を飛んだって

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柳の木の大いに茂る公園。買い物がてらちょっと寄っては、風を感じるのです。柳の枝は素直に風のそよぎに、そのしなやかな枝を揺らします。人間もそうでなくてはと思うのです。



 山海関8341部隊
 8341という番号を持つということは、この部隊が中国共産党中央弁公庁警衛局中央警衛団であることを意味しています。つまり、党要人が暮らし、政務にあたる中南海や中央委員会の施設を警備する軍の部隊であるということです。

 山海関に駐屯する8341部隊の分隊に、北京の周恩来から緊急命令が下されました。
 「河北省北戴河山海関にある中国人民解放軍空軍基地を封鎖せよ。いかなる飛行機も離陸を許してはならない。」

 その山海関の空軍基地には、英国製ホーカー・シドレー トライデント1E型機が待機していました。

 この機は、人民解放軍仕様に塗装はされていましたが、パキスタン国際航空が運用していたもので、運用後譲渡された旧式機でした。
 しかし、内通者があったのか、9名の者たちは何事もなくトライデントに乗り込み、離陸をしたのでした。

 トライデントは、北上を続け、モンゴル人民共和国のヘンテイ県ベルフ市の10キロ南方付近に至り、旧式が故のエンジン不調に陥ったのでした。
 いや、もしかしたら何らかの細工が施されていたのかもしれません。
 パイロットは、砂漠地帯に不時着陸を試みましたが失敗、9人全員が死亡しました。

 これが毛沢東暗殺を露見し、ソ連に逃亡を試みた党副主席林彪の哀れな末路であったのです。
 いわゆる、「林彪事件」というものです。

 西側の情報機関は、1971年に発生したこの重大事件を容易には把握できませんでした。
 むしろ、中国政府の不自然な動きから毛沢東が重篤な病になったのではないかと推測するのがせいぜいだったのです。

 もし、現在のように、すべての航空機にADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)が搭載されていたら、この件は迅速に西側に知れることになった事件であったのです。
 ADS-Bは、パイロットが天候や地形などの最新情報を確認できるだけではなく、GPS位置データのほか、速度、機体アドレス、そのほか、便名などが、1090 MHzで1秒に1回送信される機能が施されています。
 つまり、誰でも、どこにいても、1090 MHzに周波数をあわせれば、空を飛んでいる飛行機がいかなるものかわかるというわけです。

 で、私はその技術を活用する<Flightradar24>なるアプリを私のiPhoneにダウンロードして、時折、つくば上空に飛来する世界各国の飛行機の情報を見ては楽しんでいるのですが、先日、このアプリを使って、6月10日朝に平壌を離陸した飛行機を追ったサイトがあったことを知ったのでした。
 そんなこともできるんだと、それをしなかった自分にちょっと悔しさを感じたりもしたのです

 3機の飛行機は時刻をずらして、平壌を飛び立ちました。
 中の1機の機体は、中国国際航空CA122で、行き先は北京でした。
 CA122は、中国共産党が度々、高級指導者が移動する際に運用する特別仕様機です。

 しかし、この飛行機は特異な飛び方をしました。北京上空で、便名を変更し、そのまま飛び続けたです。しかも、飛行が比較的容易な沿岸部ではなく、内陸部を飛行します。
 時節柄、この機体にあの御曹司が乗っていることは間違いのないことでした。
 シンガポールまで、沿岸および海上を飛べば、より早くに到着できるのですが、この飛行機はそうではなかったのです。
 きっと、海上に展開するアメリカ海軍を警戒しての飛行であったと推測されます。
 これから会談をする相手に警戒姿勢を示すなど、あの国々らしい飛び方です。

 どの国も、国家元首や政府要人の専用に特別機を保有しています。
 もっとも有名なのが、アメリカの「Air Force One」です。日本も、「政府専用機」を保有しています。
 もちろん、御曹司の国も「チャムメ(オオタカ)1号」を所有し、5月に訪中した折には、大連までの約350キロを飛行しました。

 口さがない日本の副総理は、シンガポールまで飛べるのかと薄ら笑いを浮かべましたが、それくらい古い、ソ連製のイリューシン62型という骨董的な機体であったのです。

 しかし、この一件で、御曹司が、面子よりも安全性を考慮したことは特筆すべきことです。
 あれだけ自己顕示欲が強い御曹司が、他国の旗が示された飛行機で移動するのです。
 私が北朝鮮の国民であれば、何故、他国の保有する飛行機に乗らねばならないのかと、国のトップとしてのあり方に異議を唱えますが、彼の国の国民はそれさえも言えないようです。

 ともかく、御曹司は人の命は軽々に扱いますが、自分の命は惜しいということもわかった次第なのです。

 彼の国の名誉のために言っておきますが、あの「チャムメ1号」は、御曹司が乗るベンツとトイレを運ぶために飛行をしたと言います。だったら、なおのこと、御曹司は「チャムメ1号」でシンガポール入りをすればよかったのにと思ったのです。

 そうすれば、世界人民が彼を覚悟の定まったいっぱしの指導者として一目おいたのにと。
 しかし、それにしても、あの方、自分のトイレまで飛ばすんだと驚いた次第なのです。
 何でも、ホテルで排泄した「もの」から生体情報を取られるのを恐れていると言います。
 列車で北京に行くときも、列車にはそのトイレがついていると言いますから、徹底はしています。

 そういえば、取り決められた書類にサインをする時、アメリカが用意したペンには一切手を触れませんでした。
 御曹司、よほど、自分の生体情報を知られるのが嫌なようです。

 でも、御曹司、中国に対してはどうも無防備のような気がしてならないのです。
 きっとあのCA122、8341部隊によって徹底的に調べられているに違いないと私踏んでいるのです。
 恐ろしいですね。

 あの御曹司も、世界のあちらこちらへと出て行けば、いかに自分が矮小な存在かわかると思います。
 いや、蔑視して言っているのではないのです。
 人間は自分が矮小であることを知って、初めて大きくなって行くのですから。




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