スパイダーマンの糸

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およそ、一年前ほど。ニューギニア上空の様子です。ただ、日本残念でした。この壁を乗り越えるには、もうちょっと努力が必要なようです。でも、選手たち頑張りました。スタッフも、監督も、そして、応援した我々も。


 芥川の『蜘蛛の糸』は、印象深い作品でした。

 子ども心にも、人間の心の醜さを、この作品で知ったという記憶があるのです。
 他人を蹴落としてまでも、お釈迦様が垂らした一本の蜘蛛の糸にすがろうとする人間の心の醜さです。

 お釈迦様が散歩していました。
 そこにあった蓮池から地獄が見えます。多くの罪人たちが苦しんでいます。
 その中の一人に、人殺しや放火をした悪い奴がいましたが、お釈迦様は、この男が一度だけ善行を積んだことを思い出します。
 その善行というのは、一匹の蜘蛛を見つけて、それを踏みつけることなく、通り過ぎたというものです。
 
 だから、お釈迦様は一本の蜘蛛の糸を下ろして、この男の前に垂らしたのです。
 男は、これに登れば、この地獄から抜け出ることができると、しゃにむに登ります。途中で下をみると、多くの罪人が自分の後を追って、蜘蛛の糸を登ってくるではないですか。
 男は、これは俺の蜘蛛の糸だ、来るな、降りろと声をあげたのです。
 
 その瞬間、蜘蛛の糸はプツンと切れて、男も罪人たちも地獄に後戻りした、そんな話です。

 子ども心に、もし、この男がついてきた罪人たちをも、さぁ、一緒に行こう、この糸をたどっていけば、この苦しい地獄から抜け出すことができるぞ。
 こんなにたくさんの人間が登ってきたら、もしかしたら、この糸は切れるかもしれない、でも、苦しい地獄で一縷の光明を、たとえ一瞬だけでも目指していけたら本望だと思ったら、どうなったのかしらと考えたことも、まだ、私の記憶の中に刻み込まれています。

 きっと、お釈迦様は、この男の心の広さを称え、ついてきた罪人たちさえも許したに違いないとも思ったのです。
 まさか、この男だけ、蓮池から救い出し、そのほかの者たちが掴んでいる蜘蛛の糸をそこで切り落とすことはしないだろう。
 お釈迦様はそのような心の狭いお方ではない、そんな子ども心であったと思います。

 「物語」の素晴らしさは、子どもの心に、一定の心持ちを植え付けることであると思います。
 
 ですから、この歳になっても、私は<蜘蛛>を殺すことができないのです。
 私の大切にしているバルコニーの朝顔棚に蜘蛛が巣を張り巡らします。その巣は払い落とします。手入れをする私の顔をあの巣の糸が絡んで来るからです。
 でも、蜘蛛は殺しません。
 ですから、蜘蛛も、私の顔に引っかからないところに巣を作るのですからえらいものです。

 そして、蜘蛛を殺さないという「善行」は、蜘蛛ばかりではなく、ほかの虫にも適用されているのです。
 きっと、子ども心に命の大切さと善いことを行うということを、芥川の本から学んだのだ思います。
 
 で、なんで、今頃、『蜘蛛の糸』など思い出したのかと言いますと、それにはれっきとした理由があるのです。

 ラインから、あのGOKUがけたたましい声で叫び声をあげます。
 日本に来ることがよほど嬉しいらしく、買ってほしいものがあると叫んでいるのです。

 スパイダーマンの何かがほしいというのです。

 幼稚園に行く時、GOKUはスパイダーマンの衣装で行きます。娘が撮って送ってくれた写真を見ても、かなり、浮き上がっていることがわかります。
 ほかの誰も、そんな姿格好の子どもはいません。
 でも、GOKUだけは、あの赤と青のコスチュームに身を包んで、時折、あの指から糸を出す仕草を真似ているのです。
 よほど、好きに違いありません。

 きっと、『正義』なるものを、あのスパイダーマンから学んでいるのだと思うのです。
 世の中には、少なからず『悪』がある。
 だったら、その『悪』を『正義』がやっつけなくてはいけない。
 それを、スパイダーマンがGOKUに教えているのです。

 さて、スパイダーマンの何か、ですが、スレッドと言っていると娘が言うのです。
 『糸』、『クモの糸』がほしい!
 はて、日本の私のところに行けば、なんでもあると信じているGOKUは、あのスパイダーマンが手からサッとだす糸がほしいようです。

 困りました。
 私はお釈迦様ではないし、蜘蛛の糸を作り出すことはできません。

 でも、GOKUが熱望するのですから、なんとか考えなくては行けません。
 まさか、タンパク質から、液体状のものを作り、瞬時に、繊維状態にする技術をバルコニーの私を気遣う蜘蛛から聞くことは非現実的です。
 鉄よりも強く、ナイロンよりも伸縮性のある化学繊維を我が宅で作り出すことも到底叶いません。

 子どもだましではありますが、歌舞伎で使う「クモの糸」でも探すかと思案しているところなのです。





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『天皇陛下の親指』



日々の生活の中で、ともすると、何気に見過ごしてしまうこと、そんなことにもちょっとした注意を向けてみますと、そこには奥深いものがあることことがわかります。
コアラの国に暮らす人々との関係を通して、私は飽きることなく、その奥深いものを感じ取っているのです。
そして、その奥深いものが、私が暮らす日本という国を見つめなおさせてくれるのです。
何気に見過ごすのではなく、意図して、身の回りのありようを感じ取っていくのです。
「私小説」という言葉が、日本にはあります。
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