現代のビッグブルーに立ち向かえ

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我が宅のぶどうが今年は房をつけました。苗を植えてから三年目のことです。今、大切に大切に毎日世話をしています。ワインを作るほどの房はまだないのですが、来年あたりは、ボトル一本ぐらいは醸造したいと思っています。


 私の暮らすつくばという街は、筑波山の麓の広大な農村地帯に、国の学術研究施設を移設することを目的にして、六〇年代から開発されてきた計画都市です。

 いまや、国内最大の学術都市となり、国際会議も開催されるほどの繁栄ぶりです。
 いろいろと問題もあるのでしょうが、私は、街のあり方やご近所にも恵まれ、大いに満足しているのです。若い市長さんも頑張っていますから、これから更なる発展をしていくと期待もしているのです。

 さて、その野っ原に作られた人工都市に住んでいる私ではありますが、中国政府が壮大な計画を実行に移していることを仄聞しています。

 そこは、首都北京から南西へ100キロのところに位置する河北省雄安新区というところです。

 つくばが東京から50キロですから、その倍の距離のところに新しい街を作るというのです。
 完成すれば、東京都に匹敵する2千平方キロメートルの面積で、そこに200万人が暮らす都市となるというのですから、人口20万のつくばも霞むほどの「壮大計画」ということになります。

 一面、畑だった河北省の予定地では、すでに、中国の人が好む斬新なビルが建ち、無人スーパーもオープンしていると言います。

 この新しい街で暮らす中国人は、顔認証を受け、お金ではなく、スマホでものを買うのです。
 つまり、この街は、街全体がAIで管理されるスマートシティとなるのです。
 完成すれば、世界初のAI管理都市になります。
 
 あと20年もすれば、私たちの世界は一変するんだなぁと考えると、なんだか寂しい思いがしてくるのです。

 こんなコマーシャルがあったことを思い出します。
 坊主頭の男たちが同じような服を着て、隊列を組んで行進をしています。彼らはビックブルーに魂を吸い取られた男たちの成れの果てです。
 そこへ、赤い衣服の女が斧を手にして、走って来て、スクリーンで語りかけるビックブルーに向けて、その斧を投げるのです。
 斧は命中、爆発が起こります。

 そんなCMですが、実際放映されたのを、私が見たわけではないです。

 ジョブズがアップルで成功して、それから、初期のCMが発掘され、それを随分と時が経ってから見たものでした。今のアップルのおしゃれなCMと異なり、明確な主張が語られ、攻撃的なCMであると思っています。
 それもそのはずです。
 ジョージ・オーウェルが、スターリンの恐怖政治をテーマに書いたという『1984』が元になっているからです。
 
 ジョブス28歳の時のアップルのCM、この時、ジョブスの敵はあのIBMでした。

 巨人に一個の風変わりで、しかし、明確に行く末を見つめていた青年が発したメッセージは強烈でありました。
 IBMは、コンピューター業界すべてを占領しようと躍起になっている。
 関係する業界人は、IBMのあり方に恐怖さえ憶えている。
 しかし、アップルは違う。
 自分で考えるためのツールとしての、パーソナル・コンピューターを一人一人に届ける。誰も、一人も頭を丸めることなどする必要はない。
 すべてを独占し、好き勝手に振る舞う「ビックブルー」に個々に立ち向かえ、と。
 
 そして、あの赤服の女が斧を突き刺すのです。
 まさに、赤い服の女こそ、アップルであり、巨人に対抗する個々の前を向く人々であったのです。

 河北省雄安新区の人工都市が完成するには、33兆円の予算が必要となります。
 欧米や日本では、それだけの予算を計上するには、気の遠くなるくらいの手続きを経なくてはなりません。しかし、中国は一党独裁、国家主席の一言ですべてが決まっていきます。

 この街が本格的な建設に入れば、欧米や日本の企業も、将来、世界をリードする中国に与するしかないのです。
 まるで、坊主頭のあの男たちのようです。

 街中に監視カメラが設置され、個々の生活はすべて国家によって把握されます。
 ネットで政府を批判しようものなら、手ひどい仕打ちが待っています。店に行っても、顔認証でこいつは反政府的だと買い物が許可されないのです。
 『1984』が描いた世界、一党独裁下の安定というのは、究極の人間管理社会であるというあの命題が、2018年以降にも懸念されているのです。
 
 異論を排し、一人の、あるいは、数人の権力を握った者たちで、事業を進める中国の圧倒的なスピード感は、欧米や日本のように、あちらこちらの意見を拝聴し、利害調整する体制にとっては驚異です。

 でも、1984年、ジョブスはこう言っているのです。

 「1月24日、Apple ComputerよりMachintosh発売。
  あなたは1984年が小説“1984”のようにはならないワケを知るでしょう。」と。

 小さなコンピューターではあるけれど、それがIBMを駆逐したように、今の私たちも、同じような境遇を打破しなくてはいけないのです。
 何も、中国にハッキングを仕掛けようというのではないのです。
 人間の幸福というのは、政府や、なんでも自分で仕切りたい人間に任せるのではなく、多少時間を要しても己の力で得るものだということです。

 ネットで活動する私たちのささやかな意見でも、十分にそれに対抗しうるものであることを1984年にジョブズがすでに言い当てているのです。





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