天気予報が怖い!

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つくばの北部には芝畑が一面に広がる場所があります。その畑の中の道を走っていると、まるで、イギリスの田舎の緩い起伏の道を走っているような錯覚に陥ります。その芝畑の中に、地蔵さんが立っていました。あぁ、ここは日本なんだと、当たり前のように現実に引き戻されるのです。



 暑い、暑いと、言ったって、涼しくなるわけではないのに、暑い、暑いと言ってしまいます。
 
 夏なのだから、暑いのは当たり前と開き直っても、涼しくなるわけではありません。
 挙句に、「暑い」という字があるから、涼しくならないんだと、それを封印しても、結局、暑さは一向に変わらないのです。

 でも、夏が過ぎれば、やがて来るのは秋。
 そう思えば、幾分、心も落ち着くのです。

 日本人というのは実に偉いと思います。

 だって、四つの季節だけではなく、それを各季節六分割して、全部で二十四に分けて、「節気」と名付けているのですから。

 この節気、もともとは、農業と大いに関係しています。
 立春を基準にして、八十八日目は、「八十八夜の別れ霜」として、これ以後は、霜の降りることもなくなるから、そろそろ、畑に種を蒔いたらいいとし、さらに、二百十日目は、台風への注意を喚起しているのです。
 実った稲穂が台風でやられないようにと気張れと言っているのです。

 だから、これは生活に根ざした「知恵」の「実践」であると私は思っているのです。

 同時に、季節を細分化して、あとちょっと我慢すれば、この極端な暑さも、厳しい寒さも乗り切れるんだという、これは農業民としての日本人の「知恵」だと感じているのです。
 
 先人たちは、一節気をさらに分割して、微妙な気候の変化を表現してきました。
 それが「七十二候」というものです。
 この暑さも、あと五日ほどで、異なった気候になるんだから、我慢をしなくてはいけないと、そんな思いが伝わって来るのです。

 今頃で言えば、「温風至」が終わり、「蓮始開」なる頃合いです。

 「温風」というのは、<あつかぜ>と読みます。
 湿った海の空気が、山を越えて、乾いた空気になり、それが温かい風になって吹き下ろして来る風のことです。
 その風が吹く頃、池の蓮は、蕾をほどき、清楚な花を咲かせます。
 水底から茎を伸ばし、水面に緑鮮やかな葉を浮かべ、その花は、咲いてから四日目には散るのです。
 
 その温風と蓮花の候、揚羽蝶が飛び交います。
 我が宅のウッドデッキにも飛んできます。
 その蝶は、昨年、飛んでいた揚羽蝶のきっと子供に違いありません。
 我が宅のウッドデッキは、「蝶の道」筋に当たっているのです。だから、毎年、この時候になると、彼らは父揚羽や母揚羽の通った道を飛ぶのです。

 うなぎもこの時候によく食されます。
 万葉の時代からの、日本人の「知恵」がこの魚を食べることで健康を維持することを教えてくれているのです。

 痩す痩すも 生けらばあらむを はたやはた 鰻を漁ると 川に流るな
 (夏痩せしても生きていられればいいだから、万が一、うなぎを取りにいって流されなさんな)

 万葉集にある大伴家持の歌です。
 きっと、夏の暑い日、うなぎを取りに行って、川で溺れるなんて事故が、奈良の都でもあったのでしょう。

 さて、まもなく「大暑」となります。
 一年で最も暑い時節です。

 その次は、「立秋」ですよ。
 秋立つ時候です。

 気象庁が特別会見をして、すこぶる暑い日が続く、不要不急の外出は控えよと、半分脅しのような言葉を連ねて、警戒を呼びかけます。
 気持ちはわかるのですが、どうも、無粋に感じてならないのです。

 昔の人は、季節折々を心配しつつも、ちょっと先の展望を示しています。

 正確な気象情報は私たちの生活にとってとても大切なものとなっています。だって、明日、釣りに行けるか、沖に船を出せるか、とても大切なことだからです。
 同時に、今の荒天は明日には、あるいは、二十五時間後には転じて、天気は回復するなどと心をほっとさせる予報があれば、人の心も、いくぶん、余裕を持てると思っているのです。
 
 それこそ風情というものではないかと。





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『つくば模様』
つくばは田舎です。まごうことなき日本の田舎です。
しかし、ただの田舎ではありません。
そこには、ただならぬ人々がうごめき、息づかいをしているのです。
そして、世界へと大きく開く扉があるのです。
そんな私のつくばへの思いを綴りました。


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nkgwhiroの作品『カキーンと音する時代』が、短期間で、読者数を伸ばし、Puboo! にて、<おすすめピックアップ作品>第2位になっています。本当にありがとうございます。これからも、よろしくお願いします!


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