覇を唱える者たち

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月と金星。
並んで光を反射させています。
これらの星に人類が暮らすようになる時代を空想するとワクワクするのです。
同時に、人類がつまらぬことに目くじらを立てていることにも呆れかえるのです



 紀元前638年のことです。
 河南省商丘市柘城県を流れる泓水という川で一つの戦いが行われました。

 時代は、春秋五覇、斉晋秦宋楚の五つの国が覇権を争っていた時代のことです。
 宋の襄公は、近しかった斉の桓公が亡くなった後の斉国内の混乱を、うまく取りまとめ、内外の信望を集めることになりました。
 その国の覇者が亡くなれば、攻め込んで自らの国に組み込んでもおかしくない時代のことです。
 そうはせずに、混乱を収め、隣国の斉の安寧を確保したのですから立派な覇王です。

 五つの国が無用に争うことなく、人民をおさめていかなくてはと、襄公は自ら取りまとめ役をかって出てたのでした。
 しかし、楚の成王は、自分より格下の国、宋の襄公が盟主として、五つの国の主導権を握ることを面白く思いませんでした。ですから、襄公の呼びかけに応じることもなく、代わりに、子玉という勝気で野放図な将軍を送り込んで来たのです。

 諸国の覇者たちは、その横暴ぶりを嘆きますが、襄公は彼らをひたすらなだめます。
 しかし、こともあろうに、子玉は襄公を拉致して、周辺の村々を荒らし回ったのです。
 襄公が人質になっていては、宋の者たちは手も足も出せません。
 それでも、諸侯らがなんとか、子玉をなだめすかして、襄公を宋に戻させます。

 諸侯が平身低頭して訴えてきたのを見て、これで、襄公の面目を潰したと、子玉は意気軒昂として楚に戻っていったのです。子玉が言うように、お人好しのちょっと頭の弱い襄公なら一気に押しつぶすことができるとそっと耳打ちしたからです。
 襄公くみやすしとの報告を受けた楚は次の一手を打ちます。

 そして、あの泓水という川のほとりに、その軍勢を集めたのでした。

 楚軍は流れのある川を慎重に渡り始めました。
 それを見ていた宋の将軍が、今こそ矢を射かけ、敵の進撃を阻止しましょうと進言しますと、襄公は、「君子というものは、相手が困っている時、更に困らせるようなことはしないものだ」と攻撃を命じませんでした。

 全軍が渡りきった楚軍は、今度はほとりで陣営を整え始めました。
 ここでも、襄公は攻撃を認めませんでした。
 陣営を整えた楚の軍勢は、一気呵成に宋に攻め込み、散々に打ち破り、宋は楚国の支配下に入ります。

 これを世に、『宋襄の仁』と呼んで、敵に対する無用の情けをかけてひどい目にあうこととして警句として伝えているのです。

 この見解が大勢を占めているのはやむを得ない事実であろうかと思います。
 よこしまな策略を使って戦うより、正々堂々と戦い敗れることを褒める言葉は少数意見にすぎません。

 さて、その後の宗の襄公ですが、この戦での矢傷が元で、二年後になくなります。
 一方、宋を完膚なきまで打ち破った楚はどうなったのか、宋に代わって、覇権を唱えることができたのか否応なく興味関心が高まります。

 確かに、楚は天下に覇を唱える国であると、表面的な事象しか見えない小国がなびいたことは事実です。
 しかし、その後、力を持った晋、これは襄公の思いを継承する若き覇王の国ですが、その王が城濮の戦いで楚軍を散々に打ち破るのです。
 子玉は敗戦の責を負うて自害、敗戦で混乱した楚の成王は信望を失い、ついには、太子によって殺害されてしまうのです。

 己の正しいあり方を継承する王が新しい時代を作り上げていくことになったことをみれば、一概に「宋襄の仁」が通説となっているもので良いのか、疑問に思うのです。

 はて、アメリカのトランプはどっちだろうと、ふと考えたのです。

 覇権を唱える覇者としてまず挙げなくてはいけないのは、プーチン、習近平の両者です。しかし、紀元前の覇者のように、彼らは自分たちは覇権を求めないと公言してはばかりません。
 口でそういっておきながら、ウクライナを落とし、他方は南シナ海を牛耳るのですから、紀元前の覇者も顔負けの人物たちです。

 小国ながら息巻く覇者もいます。
 北の御曹司金正恩、トルコのエルドアン、最近は、イランのロウーハーニーも、その覇者の中に名を連ねています。

 現代でも、覇権を唱える役者たちが揃っているではないかと思わずニヤついてしまうのです。

 名実ともに覇者であるトランプは、どう言うわけか、同盟国を愚弄し、敵対するこれら五人の覇者に敬意を示すことがあります。
 それは紀元前の覇者楚の成王と寸分も異なることありません。
 仲間たちの寄り合いで悪態をついて、この敵対する者たちとの何人かとは親しくしたいと思っているのです。

 彼が使う覇権の杖は、「商売」と言う一手だけです。

 取引をして、双方に、将来的にはトランプ自身に利益があるかないかの二者択一なのです。
 儲けを前にすれば、彼はそれが原爆を持ち、大陸間弾道弾を持って脅しをかけてくる金正恩とでも握手するのです。民主主義の根幹を揺るがすネット工作をしたプーチンでさえ、彼はプーチンが利益があると判断するので、にこやかに対するのです。

 両名にがんを飛ばしたオバマとはまったく違う姿勢で臨むのです。

 でも、唯一、習近平に対してはそうではありません。
 ともすると、彼は自分たちの国を凌駕し、自分たちにとって代わろうとし、そのために、自分たちの国の財産を抜き取っていると考えているのです。
 ですから、総力を挙げて、叩き潰そうと画策しているのです。

 そんなことを考えていくと、どうも、トランプは成王とは違う覇者のようだと思う時もあるのです。

 日本政府が今北の野蛮国家と水面下で、アメリカに依らず何やら動いているようです。
 もしかしたら、日本国総理大臣が一番の覇者なのかもしれません。
 そうであるなら、それはそれで頼もしい限りであるとも思うのです。

 なにせ、捕らえられている無垢の民を奪い返さなくてはならないのですから。



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Author:nkgwhiro
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《 11/13 🍁 Tuesday 》
 
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<時の感覚というのは、実に不思議です。
縄文と弥生の人々が共存して、互いに文化を交流させている姿を思うことも、時には争いに発展することも、私は、想像をするのです。
さらには、世代間の違いにも思いをいたしたり、文化を異にする外国の地で、思いにふけったりもするのです。
人間なんて、人類の歴史から見れば、この世で活動する期間などわずかなものにすぎません。
しかし、そのわずかな時間でさえ、永遠に記録に残すことも可能なのです。
今回の作品はそうした意図を反映した作品なのです。>

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