ありえないほど未来的なあれ

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つくばのプラネタリウムのある公園です。
ロケットが屹立し、科学の匂いがプンプンしています。
そして、思うのです。
こんな美しく、頼もしい街が自分の暮らす街なんだと。



 まもなく、アップル恒例の新製品発表会が開催されます。

 アップルの製品を使っていない人にはまったく関係のない、一企業の広報宣伝にすぎないもので、関心を払う必要などないのですが、それでも、各新聞社やテレビニュースで取り上げられるということは、人類の未来、そう言ってしまえば大げさになりますが、しかし、それなりにインパクトのある出来事であると思っているのです。

 さりとて、だからと言って、私、その度に製品を買い替えているわけではありません。
 むしろ、買い換えるというより、いかなるコンセプトを提示するのか、時代はそれによっていかなる方向へと舵をきるのか、そう言ったことに興味を抱くのです。

 現在のCEOであるティム・クックがツイッターに、先だって、1998年5月6日のジョブスのプレゼンの動画を投稿しました。
 ちょうど20年前に行われた有名なプレゼンの一つです。

 で、ジョブスは何を紹介していたかと言いますと、あの初代<iMac>なのです。
 今、私の机の上にある薄っぺらい大判のiMacではありません。 

 彼はこう説明しています。

 「あり得ないほど未来的なパーソナル・コンピューターであり、何もかも半透明で、中が透けて見えるのです。さらに、後ろのハンドルに指先を突っ込めば、簡単に持ち上げることができます。iMacは、後ろから見ても、他社のコンピューターよりずっと見栄えもいいのです」

 この短い文言の中に、画期的な技術、デザイン、使いやすさが言い尽くされているのです。

 それはコンピューターの「箱」ではなく、机の上においておくに十分な「文房四宝」のような趣をたたえたマシーンであったのです。
 丸みを帯びた形態、その素材はカラフルな強化プラスチックであり、どう見ても、無機物の単なるマシーンではなく、血の通った生き物が想定可能な代物であったのです。
 
 しかし、当時の私は、まだ、アップルの製品は使っていませんでした。
 勤めていた学校で使われていたのは、どこもそうであったと思いますが、Windowsであったからです。
 Windowsを使って、学校のホームページを更新し、教材を作成し、各種の文書を管理していたのです。
 ですから、私用のパーソナル・コンピューターも当然Windowsであり、それに何十万も自己投資だとほざいて買い込んでいたのです。

 そんな時代の、ある日のことでした。
 つくばのセンター近くにある一軒の大型電気店に足を運びました。
 当時、「つくば電気街」というのがありました。その一軒のアップル製品も扱う大型電気店です。

 そしたら、聞き慣れた声がカウンターの方から聞こえてくるではないですか。
 「あれは、父の声だ!」
 ガス会社を定年退職して、自由にしていたときの父の声を耳したのでした。

 大きな声を出して、何かクレームでもつけているんじゃないかって、少し心配になったのです。
 そっと、家電の飾られている棚の隙間からうかがって見ました。
 
 若い店員も父もにこやかに表情で話をしています。
 どうやら、クレームをつけているような感じではありません。
 それにしても、父はあんな大きな声であったかなと思いながら、私、カウンターの方に歩いて行きました。

 その姿に父が気が付きました。
 「おい、買ったよ。」って言うんです。
 「何を?」って、私。
 「アイマックだよ」って。
 えっー、て感じでした。
 まもなく、大きな箱が奥から持ち運ばれてきました。
 
 私のアップルとの付き合いは、実は、父がiMacを買った時から始まったと言っても差し支えないのです。
 
 ブルーの強化プラスチックで丸みを帯びた父の初代iMacは、実は、父が亡くなった今も、父の書斎に置かれたままになっているのです。

 ティム・クックが投稿したツイッターの動画を見ながら、このあり得ないほどの未来的なiMacを通して、私は同時に亡き父のことも思い出したのでした。

 さて、この九月、父をも動かしたあり得ないほど未来的なアップルの製品が出るのか楽しみなことです。

 私の書斎のiMacは、起動も何かもかもすっかり遅くなりました。
 私がキーボードを叩きまくっているMacBook Pro は、画面に傷がこれでもかとついてしまっています。
 ですから、あり得ないほど未来的なものが示されれば、それを手に入れなくてはなりません。

 iPhoneとiPad、それにApple Watch は、最新のものです。
 でも、あり得ないほど未来的なものであれば、それを手にしなくてはならないのです。
 
 いやはやまったく、実に困った考えが、この時期、いつも私の脳裏に芽生えてくるのです。



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