裸が一番

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水辺に集まり、人を警戒することもなく、餌にも心配もなく、この鳥たちは、実に平和な暮らしを営んでいます。
時折、気の違った誰かが、ボーガンの矢を放ちます。
時折、石ころを投げる子供もいます。
それでも、この鳥たちは、多くの人間の暖かい眼差しを受けて、人間たちにお返しとして、安らぎを与えているのです。



 南半球にあるオーストラリアは、今、冬から春への境目の季節になります。

 ですから、長袖のシャツに長ズボンをはいて、ちょうど良いのです。空気も乾燥して、GOKUもLALAもほっぺが幾分カサカサの状態で日本にやってきました。

 一方、日本は湿気の多い国、秋の気配濃厚とはいえ、加えて、台風一過とはいえ、幾分湿気を含んだ高い気温には参っているようです。
 ですから、二人の孫は、ほぼ裸同然の姿で家の中で、ああだこうだと騒いでいます。
 
 私が自分一人の時間を持てるのは、早朝のひと時だけです。
 この数時間の間に、私はその日の仕事を終えなくてはなりません。
 いつもにもまして、集中力と計画性が求められる日々が始まっているのです。

 GOKUは母親に甘えん坊です。

 男の子はいつもそうです。
 一人では不安、なのです。
 ですから、唯一の味方である母親のところへ、どんなにうるさがられても、叱られてもそばにすり寄っていきます。

 ところが、女の子はそうではありません。

 珍しいものを見つけては、一人で遊んでいるのです。
 母親の姿を探しますが、たとえ居なくても、泣きわめいたりはしません。泣くときは、お腹が減った時だけです。
 
 そんなのを見ていると、女が強いというのが良くわかりのです。

 GOKUは、私の書斎にある机の前に座るのが大好きです。
 iMacのキーボードがあり、それに色鉛筆に、ハサミから定規、普段目にすることのないものがそこにはあります。
 紙を一枚渡すと、何かを書き出します。
 最近、アフファベットを覚え、文字まで書くようになったのですから、私としては大いに感激することこの上ないのです。

 そのGOKUが机の端に置いてある私のiPadを指して、なんで、カバーをしないのかと言うのです。さらには、置いてあった私のiPhoneも手にして、ママはパタンとすると言います。
 娘は、iPhoneにカバーをしているのです。
 それに、GOKUのiPadにも、画面保護のカバーがあるのですから、私の機器を見て、それが裸であることを奇異に感じだのだと思います。

 実際、私もワイシャツの胸ポケットにiPhoneを入れて置いて、門のそばに転がっていた自在ぼうきを直そうとして、iPhoneを落としてしまい、画面に取り返しのつかないひびを入れてしまったことがありますから、一度はカバーをつけようかと思ったことがあるのですが、それではジョブズに申し訳ないと思い、ジョブズの作った機器には何もつけず、裸のまま持つようにと言うのを守っているのです。

 iPhoneもiPadも、それに、ジョブズが手掛けてはいませんが、Apple Watchも、私はそのまま、つまり裸で持つべきだと思っているのです。

 きっと、ジョブズはそのまま手にすることで、もっともかっこいいデザインを考えたはずなのですから、それをカバーで覆っては何にもならないと思っているのです。

 昔、本屋さんで本を買うと、ご丁寧に書店名を印刷した紙で、カバーをしてくれました。
 何を読んでいるか、本の表紙を見せないようにするためなのか、それとも、買った本が汚れないようにするためなのか、あるいは、そこに印刷されている書店の名前を宣伝するお先棒を担がされているのか思案をしたものでした。
 結局、せっかく店員さんがしてくれたカバーを外してしまうのですから、買うときに、カバーはつけないでくださいと言って買っていたのです。

 包む文化というのが日本にはありますが、それは人様にものをあげるときのもので、自分で使うものには、そのような文化は必要ないと思っているのです。

 ジョブズの卓越した機器のデザインを隠してまで、それを持つ気にはなれませんし、それに、傷をつけたって気にする必要はありません。それこそ、それが自分のものである証になるからです。
 
 ですから、私はこれらの機器を裸で持ち歩いているのです。

 ジョブズの意図を汲むだけではなく、結構な値段のするアクセサリーを買う必要もありませんから、私にとっては好都合なのです。

 書斎から離れて、自分のiPadの置いてある部屋でGOKUが母親とやり合っています。
 自分のiPadに付いているカバーを取り外し、それを放ってしまったからです。
 母親は、口うるさく、つけなくてはダメと言っていますが、GOKUは、私の意見に賛同したようで、言うことを聞きません。

 私は、GOKUが散らかした書斎の机の上を片付けながら、ニッコリとしているのです。



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