柔な空想から過酷な現実へ

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砂漠の光景にも見える
京の都の雪の日の夕暮れにも
つくばの街の今日の雪の光景にも
私には見えるのです



 時に空想をする時があります。
 むかしむかしの日本列島。そこに縄文人と弥生人が共生している、そんな空想です。

 縄文人の頭がいに粘土を張っていけば草刈正雄になり、弥生人は渥美清になるといいます。
 一方は、足も長く、筋肉質、他方は、足も短く、背もさほど高くないと言うのです。
 それはそうです。
 だって、一方は狩猟生活、他方は稲作をする定住生活者なのですから。

 異なった人類が、お互いを認識しながら、共存していたと言う事実、なんとロマンチックなんだと、憧れに近い形で、私は空想をするのです。

 しかも、この二つの人間の間で争った形跡がないのです。

 弥生人の持つ鍬で殴られた縄文人の骨も、縄文人の矢じりで射られた弥生人の骨もないと言うのですから、さぞ、素晴らしい時代がそこにあったのではないかって、そう思っているのです。

 低地には、弥生人が田んぼを作り、そばにある小高い丘の上に小屋を建て、村を作ります。
 収穫したコメは、先にこの地に暮らしていた縄文人におすそわけをします。食べ方も教えてやります。

 縄文人は、いつの頃からやってきた顔の平ったい、足の短い弥生人たちが朝から晩まで休むことなく働く姿を、感心して見ていました。

 川から水を引きたいと弥生人に言われて、そんなこと考えたこともない縄文人は、訳もわからす、その様子を見ています。
 村人が全員で道筋をつけて、川のほとりから一山超えた低地へと水路を作り上げました。
 縄文人はびっくりです。
 
 森に入って仕留めた鹿やウサギ、さらには、イノシシをさばいては、それをコメのお返しに持っていきます。
 地べたを掘って、そこを草木で覆って暮らしている縄文人は、弥生人の住まいが高床になっていることに興味を覚えます。ジメジメもせず、心地よい住まいです。
 泊まっていけと言われ、彼らは一晩世話になります。
 
 そして、次第に、血が混じっていくのです。
 
 私たち日本人の顔に、彫りの深いのもあれば、髭の濃いのものあれば薄いものもあり、瓜実顔もあれば、一重も二重もあり、実に様々な容貌、体型があるのは、きっと、この血の混ざり合いのおかげだと、そんなことも空想するのです。

 私たちは、純粋なる人種などではなく、東アジアの端のこれ以上先には何もない、そのどんずまりの土地で生きてきた雑人種なんだって、そんなことを思うのです。
 
 欧州でも同じです。
 ネアンデルタールとクロマニヨンが共生していました。

 クロがネアンを駆逐したと言う学者もいれば、私の空想と同じに、血が混じり合ったと言う学者もいます。
 最後のネアンは、あのジプラタルで途絶えたと、悲しいレポートを書く研究者もいます。
 でも、欧州人のあの頑強な肉体は、肉食ばかりが原因ではなく、きっと、ネアンデルタールの血が混じっているに違いないと空想するのです。

 二十一世紀も、はや二十年目に近づきました。
 日本は、今年四月、元号も変わり、新しい時代を目に見える形で迎えようとしています。
 
 そんな現代に、二種の人種が生存する可能性があると言うのです。

 一つは、テクノロジーを駆使し、そこから生み出される利益を享受できる人種です。
 著名な歴史家は、そうした人種を、私たち「ホモサピエンス」とは異なり、アップグレードされた別の人種「ホモデウス」と名付けました。

 そして、ホモデウスはホモサピエンスを支配下に置くと言うのです。

 いやはやここまでくると、私の想像は、あのうきうきした気持ちも失せて、何かやるせない気持ちに支配されていくのです。
 アップデイトされたホモデウスに誰がなるかではなく、どの国家がホモデウス・ネーションになるかなんて、そうなれば、そのネーションが、他のネーションを支配すると言うことにつながるのです。

 ホモサピエンス=現生人類、つまり、私たちは、すべての個人情報を管理され、ホモデウス・ネーションの言いなりになるのです。
 反抗も、批判も、諧謔も、ユーモアも許されない、そんな時代に私たちは向かっているのかと、そんなことを思うだけで、がっくりとくるのです。

 縄文人のように、筑波山の奥に逃げ込むかとか、霞ヶ浦に留めてある船で、ホモデウスのいない小島にでもいくかなんて考えたり、いや、敢然と戦うべきであるとか、そんな物騒なことなども思うのです。

 そういえば、我が子を親が貶める事件がクローズアップされています。
 周りの大人も、無警戒に、子を魔の手に渡しています。
 そんなことを思うと、まずはホモデウス的傲慢者にして、弱きに権力を振るうやからを退治しなくてはならないと、柔な空想から過酷な現実に戻されるのです。



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《 2/23 🏃‍♂️ Saturday 》
 
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『お人好しの国』
人はいつの時代も、性懲りもなく、争いを好みます。
暴力はいけない、だから、「法」で争いましょうって、つまらないことを何年もかけて、とりとめのない議論で争いあうのです。
政治の世界もひどい争いをしています。
一昔前は、国を挙げての戦争になって行くのが相場でしたが、今は、そうそう簡単には戦争にはなりません。
だから、あれやこれや、算段して、表向きはとりなしをするのですが、裏ではそれこそ醜い争いが繰り広げられます。
そんな中に身を置くなど真っ平ご免被りたいのですが、その私もなんだか、そこに片足、いや、両足を突っ込んでいるようなのです。


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❣️<Twitter>で、『ものかき』として、朝と晩『つくばの街であれこれ』と題して、つぶやいています。そんな創作活動です。

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