田舎のだんご屋のぼた餅

wu347q3ouq

 水温むとはよく言いますが
 この光景は
 大気温むというにふさわしい
 雰囲気だと思うのです
 だって
 かほどに透明なる空気は久方ぶりだったのですから



 この春、樹木を移動をするために、午後の時間、長靴を履いて、作業着を身にまとい、せっせと働いています。
 春の私の、いつもの行事です。

 五年もののもみじの樹を抜き取りました。
 もみじの根っこは、地中深く太い根を突き刺しています。あまりに深く、もはやどうにもならなくなり、地べたに腰掛け、伐採用の小型ノコギリでその根を切らざるを得ませんでした。

 花を咲かせ、実をつけてくれないオリーブの二本の樹も抜き取りました。
 種類の異なるオリーブを植えれば、結実すると言われて、植えたものですが、一向に花を咲かせ、実をつけてくれません。
 これも思い切って、抜き取ります。
 こちらは根を横に長く張っています。

 そして、三つの樹木を用意した大きめの鉢に植え替えたのです。

 果たして、生き延びてくれるだろうか。
 そんな心配をしながら、かれこれ二週間が経過しました。
 もみじは、新芽を膨らませつつあります。
 オリーブもしかりです。

 樹木って、本当に強いって思うんです。

 樹木の命は、例えば、「縄文杉」などと言われるように、人間の命など叶わないほどの長さを誇っています。
 我が宅のように、主人の気ままで、移されたり、勝手に枝を整えられたりする樹木もあれば、人目に触れることもなく、自然の中で巨大になっていく樹木もあります。

 クスノキなどは、その典型です。
 日本の各地にあるクスノキは、巨樹の代表格といっても差し支えありません。
 幹周りが24メートルもあるクスノキを先だってテレビのドキュメンタリー番組で見ましたが、もはや、そうなると神々しさが漂ってきます。
 古代の日本人が、そうした木に神々が宿ると考えたのも、当然のことだと思うのです。

 もし、樹木に意思があり、知能があり、記憶する力があれば、彼らは、人類の歴史をその始まりから今に至るまで、確実におさえているはずなのです。

 卑弥呼が百余国を束ねたことも、ヤマトタケルが日本各地を回って大和朝廷の威光を広めたことも、平安の貴族が優雅に歌を詠んでは我が世の春とめでたことも、武士が天下を奪い取り、戦いに明け暮れたことも、すべてを見てきているのです。

 しかし、樹木は何も言わない。
 何も教えてくれないのです。

 ただ、そこにあって、年輪を増やし、じっと、人の行いを見つめているだけなのです。

 どこであったか、九州のどこかであったかと思いますが、たらちねと呼ばれる巨樹を見て、感動をしたことがあります。
 たらちねとは、枕詞でのあの「垂乳根」のことです。

 イチョウの木だったかと思います。
 気根が地上にあって、大きくふくらみ、まさに異形なる姿でそこにありました。
 その硬いふくらみに手のひらを当てると、ドクドクと言う、命をつなぎとめる音が聞こえてきそうでした。
 本来は、地中にあって、そこから養分を吸い取る根っこが、大気中に出てきて、そこから息をしているのです。
 木には、そうした力もあるのだと、その力のありように驚いたものでした。

 私たち人間だって、この世が水で覆われたら、耳の裏あたりにえらができて、肺に空気を送ることができる機能を備えることができるかもしれません。
 人間だって、大昔は、海で生活した生物から進化したと言うのですから、まんざら不可能なことではないのです。

 肩甲骨あたりが、進化して、翼になったって、それだっておかしいことではないのです。
 尾てい骨が尻尾になって、樹木の枝から枝へと尻尾を巧みに絡めて移動することだって、当然、可能なことであるのです。

 そういえば、人間がかつて描いた絵を思い起こしますと、確かに翼を持った人間も、尻尾を持った人間も描かれています。
 龍だって、鳳凰だって、麒麟だって、学者はそれは想像上の動物だって言いますが、あれって、もしかしたら、かつて本当にいたのではないかと、思っているのです。
 だから、人はそれを思い出して、描いた、それが形をより芸術的にして、今に残る、そんなことではないかって、思っているんです。

 そんな思いを心に描きながら、休憩時間に、私は買ってきた、田舎のだんご屋の、評判のぼた餅を頬張ったのです。



自分らしさランキング

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

nkgwhiro

Author:nkgwhiro
ご訪問
ありがとうございます

《 4/20 🎩 Saturday 》
 
🦅 昨日、<カクヨム>にて『ウッドデッキが教えてくれた世界』を公開しました。


『ウッドデッキが教えてくれた世界』

家の一部であって、外の世界ともつながるウッドデッキ
そこで暮らしていると、いろいろなことが目の前で起こります。
斧を研いだり、警察官がただならぬ情報を漏らしたり、鳥の巣がコアラの国の鳥たちのことを思い起こさせたり、それに、だんごを頬張ったりして、そこはもはや、わが人生の社交場となっている、そんな場所なのです。

下のリンク欄<カクヨム>からアクセスができます。


【nkgwhiroの活動】

❣️<Twitter>で、『ものかき』として、朝と晩『つくばの街であれこれ』と題して、つぶやいています。こちらもご訪問よろしくお願いします。
 

リンク
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
フリーエリア