安心が何より 

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 梅雨の真っ盛りに
 時として
 こんな夏の雲が出るんです
 そんな空を見ると
 すっかり
 気分は夏、額の汗をぬぐって
 目を細めてしまいます




 九州は鹿児島に生まれ育ち、長じて東京の大学に入って、そこで出会った茨城人と結婚、以来、夫婦共々、この地で教員をしてると言う女性と同僚であったことがあります。

 その方が、しみじみと言うのです。 
 この辺りは、災害らしい災害もなく、本当に天国見たいって。

 確かに、この地で、命の危険を感じるような災害に直面したことはないなって、私も同意するのです。

 彼女にしてみれば、鹿児島のどこに暮らしていたのかは実のところわかりませんが、川の氾濫、山崩れと、幼き頃から命の危険と隣り合わせの体験をしてきたに違いないと想像するのです。

 大人たちの慌てぶりに、子供のことですから、動揺し、怖い想いをしてきたに違いないことが、その口吻から伝わってきたことを覚えています。

 取手の学校に勤務して、小貝川の氾濫がありました。
 教師になったその年のことです。

 被害にあった生徒の家に家庭訪問をして、見舞った時、意外にも、大人たちがにこやかにしていて、めったにないことで驚いたけれども、何事もなくてよかったと、一様に言っていたのが印象として、私には残っているのです。

 実際、死者も、けが人もなく、水が押し寄せてきた柱や壁の名残を大切にして、それを残しておくんだと、悠長なことを言っていました。

 そんなことを振り返ると、九州の彼女が言っていたことが、真実味を帯びて、その時の怖さが私に伝わってくるのです。

 昔から、つくばや土浦の人間は、のほほんとしているなんて言われていました。
 それは、災害もなく、豊かな恵みを年がら年中受け取れるからだと、そんなことを言われたこともあります。
 それでも、あの大震災の折には、この辺りもだいぶ被害がありました。

 古い農家の屋根は崩れ、いまだに青いビニールのかかっている家もあります。
 もう、直すことがないのかもしれません。

 我が宅も家の中はめちゃくちゃ、家の壁にヒビが入ってしまいました。
 きっと、数年後に、我が宅の水道管が破裂して、ガレージの車をびしょびしょにしたのも、あの地震が発端にあると、私は思っているのです。

 あの時の教訓として、我が宅では、リュックに医療品と三日分の食料と、それに、五十本あまりのペットボトルに水を入れて、蓄えているのです。

 数日前の大雨の時、鹿児島市全体に避難命令が出されたなどと、NHKのニュースを目にしますと、大変なことだって、鹿児島といえば、大都市、皆、どこへ行くのかしらって、そうしたら、ネットでも、どこへ行ったらいいのかって、そんな声が届き、そうだよなって、でも、どうしたらいいのかしらって、しばらく、考えこんでしまったのです。

 私、備えをしています。
 確かに、生き延びるために、準備をしています。

 リュックにそれらを入れているのですから、家が倒壊、焼失を念頭に、三日は自力で生きようとしているに違いないのです。
 ウッドデッキの隅という隅に置かれたペットボトルの水は、先の震災で、トイレが使えないことが起因でした。
 それがために、当座のトイレ使用に支障を来たさないように、そうしているのです。

 でもって、思うのです。

 仮に、想像を絶する大災害が発生して、つくば市全域に避難命令が出され、近くの学校に行って、果たして、安心を得られるのだろうかって、そう、思うのです。

 今、私は、人生で最高の生活を享受しています。

 私は、この家を最高のものに仕上げてきたのです。
 それが倒壊、焼失してしまったら、諦めもつきますが、そうでなければ、私、ずっとここにいた方がいいと、実は、考えているのです。

 だって、体育館で、段ボールを境にして、私、寝られません。落ち着きません。
 気ばかり使って、精神に異常をきたすのではないかと思うのです。

 それならば、自宅にいて、思い通りに作った家にあって、備えていたものを細々と食べて、飲んで、そうして生きていた方が幸せだと思っているのです。

 ですから、避難をしない自由を、自治体にも認めて欲しいと、そんなことも思ったのです。

 気象庁の人が、あまりに脅しの言葉をかけるのも、少し、考えものだって。
 NHKの若いアナウンサーが安全を気遣ってくれるのも、余計なお世話だって。

 安全も大切ですが、安心が一番だと、そんなことを思いつつ、あの雨の日のニュースを見ていたのです。



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nkgwhiro

Author:nkgwhiro
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ありがとうございます

《7 / 23 🍙 Tuesday 》
 
🦅 ただいま、<カクヨム>にて『我が宅は埴生の宿なり』を発信しています。

 ささやかなる宿なれど 
  そは我が生涯のある証 



 何世代にもわたって、その地に根を下ろすのもよし、たった一代、好き勝手に人生の一時期を過ごすのもまたよしとおもうのです。

 故郷とか、家というのは、実に、はかない、せつない、たよりないものであるのです。

 でも、こころのどこかに、人の思いを感じることのできるそんな場所でもあるのです。
 だから、人は、その狭い空間に、はかなさ、せつなさ、たよりなさのほかに、懐かしさを感じ、時空を超越した感情を託すことができるのです。
 
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【nkgwhiroの活動】

💝 <Twitter>で、『ものかき』として、朝と晩『つくばの街であれこれ』と題して、つぶやいています。こちらもよろしくお願いします。 

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