太平洋のヒコーキ野郎

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前日の雨、そして、翌朝は霧のかかる朝を迎えました。いつの季節も雨の日は嫌なものです。しかし、霧は天気の回復の兆し、きっと、このような青空と初冬の雲が見られるのではないかと期待しているのです。


 朝方から、めまいが甚だしく、港に行く予定をキャンセルし、家で静養していました。

 多少の疲れが溜まったようです。
 ソファーに座って、ぼーっとしているのが一番です。
 予定がキャンセルされると、時間がぽっかりと空いてしまいます。
 所在ないまま、ケーブルテレビの普段は見ないCSの放送をチャンネルを無造作に押していました。

 出て来たのは、あの往年の名画と言われる「素晴らしきヒコーキ野郎」というコメデイ映画でした。
 何がコメデイかといえば、世界各国から集まったヒコーキ野郎をステレオタイプに描いているところです。

 これが実に面白いのです。

 例えば、一番印象的なのが、ドイツ人将校のホルスタイン大佐です。
 ドイツ人は頭に何かがつくくらいの真面目なマニュアル人間として描かれています。
 飛行機を格納庫から出すときも、ドイツ式に、膝を曲げずに、伸ばして行進するかのようにします。
 ヒゲはカイゼル髭で、常に忠実だか、頼りにならない部下がホルスタイン大佐に金魚のフンのようにくっついています。

 フランス人のデュボワは、女に目のない色男として描かれています。
 これが典型的なフランス人のイメージだと思うと、これまたおかしくなります。
 飛行場で、酒場で、常に女の尻を追いかけているのです。
 隣でホルスタイン大佐がドイツ国旗を掲揚し、国歌に対して威儀を正せば、隣でフランス国旗と国家をふざけて掲げるのです。
 これがきっとイギリス人の大陸の二大大国のイメージなのでしょう。

 イタリア人のポンティチェリ伯爵は、フランスに対抗意識丸出し、大金持ちで、子沢山と来ています。
 服装は派手、どこにでも妻を連れて行く愛妻家です。

 アメリカ人は、意外にも、スマートに描かれています。
 アメリカ西部からやっていたカウボーイがイメージのようです。
 登場人物では唯一の女性であるこの世紀のレースを企画したイギリス人のローンズリー卿の娘と突拍子もない行動に出て、一時は出場権を剥奪されてしまいます。

 そして、この娘にプロポーズしているのがイギリス近衛士官でパイロットのメイズです。
 イギリスジェントルマンとはこのようなものであるという典型として描かれています。
 イギリスからはもう一人アーミテージ卿が出ます。
 これが悪い奴で、アコギな手ばかりを使って優勝を狙うのです。
 一方でジェントルマン、他方でずる賢い、意地悪な側面を出すなどイギリスの映画らしい、アイロニカルな描き方ではあります。

 そして、アジアから唯一出てくるくるのが日本です。なんと優勝候補です。
 1910年ごろの日本はといえば、アジアでその勢力を伸ばしつつあった、まさに昇り竜のごとき国でありました。
 ただ、ヤマモトなる登場人物の最初の場面が大凧に乗っていたのには参ります。
 アメリカ映画の「パールハーバー」で、連合艦隊の司令長官が野っ原で作戦会議を開いていたのと同じ発想です。
 また、この二つの映画に共通しているのは、ニッポン人が出てくるときに奏でられるあまりに東洋的なメロデイです。
 欧米人の心根にある日本に対するある種の典型が見て取れるので、面白くもあり、悲しくもあるです。

 さて、この映画、今風に仕立てるとどうなるのでしょうか。

 場所は太平洋です。アメリカのシアトルから中国の深圳までパラオ経由で飛ぶレースです。
 先端技術のそれぞれの国を代表する企業がひしめき合っている都市と都市を結ぶレースです。

 アメリカは、トランプならぬジョーカー中尉が、ラスベガスから参戦です。
 世界最強のB1ランサー爆撃機で出て来ます。
 顔をしかめ、右手の指で丸を作り、気に入ったやつには握手を求め、肩を叩き、愛想を振りまきますが、気に入らなければ、そっぽを向いて口も聞きません。
 多くのアメリカ人も困り果てたものだと、顔をしかめますが、如何せん、傍若無人にして、自分が一番だと思っているのですからどうしようもありません。

 1910年代には、出てこれかったロシアからは、プーチンならぬラスプーチンが出て来ました。
 確かな航空技術はあるようですが、何せ金のない国、持って来た機体は妙に馬鹿でかい爆撃機ツポレフ160爆撃機です。

 中国は初参加となります。
 かつては眠れる獅子と揶揄され、帝国主義列強の餌食となり、国際的な地位などかけらもなかった国です。
 それが悔しかったのか、今は、10億を超える人口を武器に、世界に打って出て来ています。
 自分たちのいうことを聞かなければ、貿易を一方的に止め、その国に人民が観光に行くことを止めてしまいます。
 された国にあってはひとたまりもありません。
 この土地が欲しいと思えば、時に甘言を用いて、時に武力をもって、言いがかりをつけてきます。
 今や、かつての眠れる獅子は暴れる昇竜となって、あの広い太平洋をアメリカと二分しようなどと大言を吐いているのです。
 今回、中国製のH-6爆撃機を駆って、小熊布(クマのプーさん)が参戦します。

 さて、厳かなメロデイーが流れてきました。
 なんとも優雅にして、西洋和音とは異なる調べです。
 1910年代にも参戦し、優勝候補に上がっていた日本の登場です。
 日の丸に混じって、旭日旗も振られています。
 一部でブーイングが起きていますが、大分は極めていい反応です。

 しかし、現代の日本には爆撃機がありません。
 ですから、今回のレースのためにかつて設計された大型爆撃機が、日本企業の総力を挙げて制作されました。
 6発のプロペラエンジンは、ジェットエンジンに変えられ、丸みを帯びた形状は、どの国の爆撃機とも異なり、優雅な作りになっています。これこそが幻の富嶽スーパーエディションです。

 ロシアのも中国のも、アメリカの爆撃機の形とよく似ています。
 口さがない連中は、きっと、スパイを使って設計図を盗んだに違いないと言っています。それに比べ、日本のは独創的で素晴らしいと口を揃えて言っているようです。

 パイロットは、昔も今も、もちろん、ヤマモトです。これしかありません。

 さて、レースが始まりました。
 各機、シアトルを離陸しましたが、ロシアのツポレフが戻ってきてしまいました。
 ラスプーチンはアメリカの陰謀だと喚いています。

 なんでも、自動操縦装置にハッキングがなされたと喚いているようです。
 実際のところ、ライバル機にハッキングをして、レースを我がものにしようとしたのですが、操作を誤り、自分の機に良からぬデータを送り込んでしまったようです。

 まさに、自業自得、ズルはいけません。

 中国のH6は、トップで太平洋を飛行していました。
 しかし、経由地パラオにあろうことか着陸をしました。
 パラオには、膨大に浪費するジェット燃料を、あの遼寧が密かに運び入れているはずでしたが、遼寧は初の遠洋航海で行方不明、ついに、ジェット燃料を補給できずに、リタイヤとなりました。
 
 中国はパラオに対して、腹いせなのか、中国人観光客の渡航を禁止しました。
 これが世界に君臨をしようとする大国の本当の姿なのです。

 さて、残りはアメリカと日本です。幾分、アメリカがリードをしているようです。
 B1ランサーは成層圏を飛行、富嶽スーパースーパーエディションは海面すれすれを飛行しています。
 B1ランサーがいち早く深圳に着陸態勢に入りました。
 富嶽スーパーエディションもレーダーに中国大陸を収めました。

 ところが、着陸許可がおりません。

 困ったことです、自国の爆撃機がパラオで飛べないのを知り、嫌がらせをしてきたのです。
 九段線内にいかなる国の飛行物体も侵入はまかりならんというのです。

 ジョーカーは強行突破だといきまきますが、ヤマモトはつまらぬことはやめて、シアトルに戻ろうと連絡します。
 そんな話を聞くジョーカーではありません。
 ジョーカーは九段線を突破し、大陸奥深くまで飛行をしていったのです……。

 どうやら、私はソファで往年の名画を見ながら、うつらうつら眠ってしまったようです。
 それにしてもなんだか夢見の悪い思いをしたなと思いながら目を覚ましたのです。




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